カカオハンターズ・小方真弓さんインタビュー「カカオ生産者の想いごとチョコレートに」
2021年02月12日
チョコレートの原料であるカカオは農作物。その事実をつい忘れがちになってしまうのは、カカオの生産地と、チョコレートを食べる私たちとの距離が離れているからかもしれません。
長い栽培の歴史を持ち、生産者として自信とプライドを抱くカカオ生産者の姿は、お茶農家の皆さんにも重なるよう。今年のバレンタインは、カカオを作っている人のことを思い浮かべながら過ごしてみませんか?
カカオハンター・小方真弓さんが携わる「CACAO HUNTERS」の仕事は、まずは良質なカカオを見つけること。そして、農家と協力してカカオを栽培・収穫し、きちんとおいしいチョコレートにして消費者に届け、またその声を農家に届けること。
カカオ本来の香味を生かしたチョコレートを作りながら、カカオ生産者の生活水準とモチベーションの向上を目指し、関わる人がすべて幸せになれるチョコレートづくりの方法を、探し続けています。
教えてくれたのは…小方 真弓さん
カカオハンター。カカオハンターズジャパン代表。1997年に製菓原料チョコレートメーカーに入社。その後チョコレートの技術コンサルタント、NGOやアジア開発銀行のチョコレート復興プロジェクトに従事しながら、現在まで15か国のカカオ生産国を旅する。2010年Cacao de Colombia S.A.S.に自己資金を投資して経営参画、以来活動拠点をコロンビアに移し、現地のカカオ発掘、カカオ豆品質向上、生産指導、生産農家の発展に努める。またカカオ・チョコレートの国際コンクール審査員のほか、各国でカカオについてのセミナーやコンファレンスも行う。
公式サイト:https://cacaohunters.jp/
カカオ生産の現場を自分で見てみたかった

私はもともと製菓用のチョコレートを作る会社の開発部門に勤めていました。それでどうしてもカカオの生産現場を見てみたいと思ったんです。
ただの好奇心と言ってしまえばそれまでですが、例えば料理人が“野菜がどうやって作られているのを知りたい”と思うことって、自然なことですよね。同じように“このチョコレートの原料は誰がどうやって育て、収穫して私たちの手元にきたのか”を知りたかった。
しかし当時の日本ではカカオの栽培現場やその加工について詳しい人は数少なく、また、女性をカカオ産地に出してくれる空気がなかったこともあって、会社をやめて独立し、カカオの生産国や、ヨーロッパなどの消費国、計30か国を回るようになりました。

生産地を訪れるのは、カカオの多様な魅力を肌で感じられて本当に楽しいです!今も新しいカカオに出合うと心からワクワクしますよ。形だってほら、こんなに多彩なんです。
丸いもの、ゴーヤみたいにゴツゴツなもの、ツルツルなもの、先がとがっているもの、ちょっとセクシーなボディのもの、まん丸のもの……。チョコレートになると皆茶色なのに、原材料はこんなにいろいろなんです。

一方で、生産国と消費国の距離も、強く感じました。「カカオの生産者はチョコレートの味を知らない」と言われますが、多くの国でそう。これにはいくつかの理由があります。
まず、チョコレートの製造が非常に多くの過程を必要とするから。私はよく、チョコレートは「農業・化学・物理の融合」とお話しするのですが、収穫されたカカオの実は、発酵と乾燥によって香りと味を引き出した後に寝かせ、その後は焙炒で火を入れて、細かく微粉砕してから練りあげてやっとなめらかなチョコレートに。
さらにその後、製菓会社やショコラティエによって加工され、やっと私たちの手元に届きます。つまり、農作物としてのカカオと、商品としてのチョコレートの距離が、とても遠いのです。
そしてふたつ目は、経済的な格差です。チョコレートを消費する国は、経済的に発展した国や旧宗主国など。カカオ豆をヨーロッパの会社に買っていただこうと交渉し始めた頃に驚いたのが、本来だったら売り手が価格を決めるところですが、買い手から価格が伝えられたことでした。
カカオ豆は加工が必要なため、出荷時点で香りや味を知っていただくのは難しいもの。そのため、品質への対価が決めづらいこともありますし、かつては農園や産地にこだわらずにブレンドして使われていたという背景もあります。
しかし国としての立場の違いなどによって「いいものを作れば対価が上がる」という当たり前のことが、カカオ生産の現場では成立は稀でした。様々なことが起因して、生産者が自分たちの作ったカカオから生まれるチョコレートの味を知らないということが起きてしまっていたのです。
私たちは、おいしいチョコレートをお届けしたいのと同時に、この生産と加工、そして消費の遠い距離をぐっと近づけたいと思っています。そうすることで、カカオの農作物としてのすばらしさをお伝えするとともに、生産者のモチベーションも上げていきたいのです。
コロンビアのカカオは多様性の宝庫

現在拠点にしているコロンビアへ初めて訪れたのは2009年のこと。私がチョコレートの仕事を始めたころ、カカオの起源はメキシコあたりだと考えられていました。でも実際に行ってみると、明らかに南米に面白いカカオが多いのです。
当時の南米だと、エクアドルやベネズエラはカカオの輸出は盛んでしたし、ペルーも世界的に注目が集まり始めていました。ところがコロンビアだけは全然情報がなくて、実際に行ってみたんです。「カカオを探しにきた外国人なんて、何人もいないよ!」と驚かれたのを覚えています。
山の中に入ってカカオを見た時に、「私が探していたのはこれだ!」と思いました。種の色が白い「カカオ・ブランコ」と呼ばれるタイプをはじめ、たった数日間でどれほどの種類のカカオを見たことか。言葉にするのは難しいんですが、「ここだ!」という確信めいたものがありました。
つい最近、カカオの起源は南米のエクアドルだとする論文が発表され、自分の勘は間違っていなかった!と。

でも、国内の人たちはそのカカオにそれほど価値があるとは思っていません。当然、外の人に知られる機会もない。ならば自分たちが市場を作って、生産者が誇りにできるようなカカオにしたいと考えました。
コロンビアは、国内でチョコレートを飲む文化があるので、カカオ豆は国内で流通しているのですが、「こんなにいいものがこれではもったいない!」と当時思ったんです。まずは今あるカカオ豆の加工をきちんとすること、そしてカカオの調査を続けていくことを目的として、コロンビアに拠点を移したのです。
みんなが幸せになる形を見つけたい

現在カカオハンターズでは、コロンビアの4つの産地で生産したカカオを国内で発酵・加工まで行って販売しています。品種だけではなく産地で分けているのには理由があって、カカオは混成栽培されることが多いのです。
ひとつの品種で栽培するより、倍以上も生産量が上がることもあるため、厳密にいえば、生産地どころか農園ごとに味が違ってくるのです。
コロンビアは、暗黙の階級制度のようなものがあり、「どうせ努力したって……」とそれを受け入れてしまう人も多くいます。
しかし、国内だけでなく外貨を取り入れることで、“自分たちが品質のいいものを作れば、もっと多くの人に知ってもらえる。そうして労働の価値を高めることができる”のだと考えるようになってほしいと思いました。
実際に「インターナショナルカカオアワード」などのカカオの品評会やチョコレートの品評会でも受賞するようになってきて、みんな自信がついてきています。5年、10年と続けて、「うちの味がやっぱりいいよね」って意識も変わってきています。

そんな道のりですから、私たちのチョコレートは決して安くはありません。でも、価格幅はいろいろあっていいと思います。
“私はこのぐらいの価格でいいわ”という人がいる一方で、もっとこだわったものを求める人がいる。欧米を中心にしたクラフトビールやサードウェーブコーヒー人気にも似た形で、「ビーン・トゥ・バー」(カカオ豆からチョコレートまでの加工を一貫で行う)というスタイルが出現したことで、シングルオリジンや生産者のストーリーといったものに興味を持つ人も徐々に増えています。
私たちの仕事は「おいしいチョコレート」を作ることですが、原材料であるカカオのこと、作っている人々のこと、チョコレートの多彩なおいしさのこと、そんな情報をお伝えすることで、もっと買う人の選択肢を増やしたい。
そうして、このチョコレートに関わるすべての人たちが幸せになるようなサイクルにしていきたいと考えています。
CACAO HUNTERSのチョコレートを食べる

CACAO HUNTERS Plus
カカオハンターズのチョコレートが楽しめるお店が、2020年東京駅、グランスタ内にオープン!カカオハンターズ定番のオリジンチョコはもちろん、店内製造のチョコレートドリンクやジェラート、チョコレートをふんだんに使ったスフレやケーキなどのオリジナルスイーツがいただけます。
| 店名 | CACAO HUNTERS Plus |
| 所在地 | 東京都千代田区丸の内1-9-1 グランスタ東京 B1F |
| 営業時間 | 平日・土・祝日 7:00~22:00
日曜・連休最終日の祝日 7:00~21:00 |
| URL | https://cacaohunters.jp/news/318/ |
このインタビューは「TOKYO TEA JOURNAL」VOL.22に収録されています。
TOKYO TEA JOURNALとは?
他の記事もみる
萩原さんの急須をサイズ違いで持っていたので大きいものが欲しくなり購入しました。持ち手と注ぎ口な安定していて、どんなお茶でも対応してくれる万能な急須です。購入できてうれしいです。
以前購入したものを割ってしまい買いなおしと追加で購入しました。
薄い器ですが名前のとおり一煎目の温度であれば手に伝わる熱さも問題なく、その薄さゆえにお茶の風味を自然に感じることができます。
長く使っていると白かった器が徐々に色づいてきますがそれもまた器の味として楽しんでいます。
香駿は、東京茶寮がオープンした時から一番好きなお茶でした。久しぶりに飲んでみましたが、やはり香りの良さとフルーティーな感じが素晴らしいです。茶葉が柔らかいので、三煎目は少し印象が薄いかもしれませんが、シングルオリジンらしいお茶ですね!
父親に贈る用で通常の商品を、自分用に二級品を購入しました。よく見てみると底に傷がありましたが、よく見なければわからないくらいで使用には全く支障ないので、とてもレベルの高い二級品だと思いました。磁器製の急須を処分してこちらに変えたので、食器棚もスッキリしておしゃれになり気分も上がりました。大事に使いたいと思います。
むさしかおりを頂いて。
一煎目、まあるい旨味とコクを感じる美味しさ、大好きな口当たりでした。
二煎目 心地よい苦味、
そして新緑の様な爽やかさ
一煎目とは大きく違う味わいを感じ
お茶好きとしてお茶を頂く楽しみを味わえます。シングルオリジンならではの茶葉本来の味を実感します。
紅茶党だった私が、「美味しい緑茶が飲みたい!」と思い、始めてみました。毎月色々なお茶(たまに和紅茶や烏龍茶も入っていてなお嬉しい)が手元に届き、今まで難しいと勝手に思い込んでいた緑茶が一回分ずつ3種類も入っているので、気軽に美味しいお茶が楽しめて私の中でのお茶の世界が広がりました。どんな緑茶に出会えるのか、これからも楽しみです。ありがとうございます。
注文から購入、発送、到着まで心配りが行き届いています。茶もおいしくいただきました。
亀田文さんの面取り鉢と同時購入しました。形の可愛らしさと柔らかな感じが気に入り、実際手元に届き、やはり形の綺麗さ、可愛らしさに満足ですが、思ったより底面積が小さいので、薬味やタレ、プチ菓子(練り切り1つ)を入れるサイズ感で、ワンプレートに乗せる豆皿のようにも使おうと思っています。
亀田文さんの器は前々から購入を考えていて、今回決心して家族分購入しました。
本当に使い勝手がよく、なかなかこの深さでこの形は見かけず、和・洋・中・デザートまで、何にでも合わせられます。買って良かったと思える優秀な器です。
とてもしっかり梱包していただきあ、また適宜メールでのご連絡もあり、信頼できるお店でだと思います。
また、機会があれば宜しくお願い致します。
黒豆も生姜も香りや香ばしさが際立っていて美味しくいただいています。豆乳ティーにしても香ばしさが残って楽しんでいます。今後も購入すると思います。
待ちに待ったティーポットを購入する事が出来ました。
早速お茶を淹れてみました。
とても美味しく淹れる事ができました。
素敵なティーポットで大変気に入りました。
お茶好きの友人へのプレゼントで購入しました。
見た目の美しさはもちろん大きさもちょうどよくとても喜んでもらえました。
1日のなかで素敵なティータイムを過ごしてもらえそうです。
久しぶりに大好物のドライいちじくをいただきました。いちじく本来のほんのり甘い品のいいお味が凝縮されていて、噛めば噛むほど口のなかに甘みが広がります。程よい柔らかさと粒々食感も最高です。今回は「はるもえぎ」と共にいただきました。
昨年、賞味期限前の値引きの時に購入しました。美味しかったので再購入。少しお高いですが非常に美味しく、緑茶と合わせると最高です。ケーキより糖分が少なく、タンパク質が取れるのも良いと思います。
私は毎朝、起床時に緑茶を飲むのが習慣になっています。当初は緑茶が飲めればそれでよかったのですが、見た目や雰囲気も含めてお茶の時間を楽しみたいと考えるようになり、素敵だなと思える茶器を探していました。そんな中、この急須を見つけました。
約180mlのお湯が入る容量があり、1人でコップ1杯分飲むのにちょうどいい大きさです。2杯目、3杯目を2人で分け合ってもいいし、同じデザイナーさんの小さな湯呑みなら60mlを3人分に分けて振る舞えます。
大きすぎず、小さすぎず、程よくミニマムな大きさが私の用途にぴったりでした。また、見た目はシンプルで美しく、手触りも良いです。お気に入りの急須です。
華やかさと爽やかさを兼ね備えた甘みのあるお茶。これだけで満足感があり、気分転換したい時などにチョイスしています。
お茶請けを用意するなら洋菓子にも合わせやすく、紅茶やコーヒーはちょっと重い…という時にも。
特に柑橘系など、香りの良いお菓子と合わせるとお互いが引き立つのでおすすめです
お店で頂いた香駿の冷茶が素晴らしく美味しく、茶葉によってこれほどまでに違うのかと、私の中での新たな扉が開いたお茶でした。
あの香りが忘れられないのですが、茶葉の量か、水なのか、自分で淹れるとなかなかあの美味しさにたどり着けずにいます。
通年販売のお茶ということもあり、ほぼ1年を通して楽しんでいます。
お茶だけでも美味しいですが、甘味とも塩味どんなお茶請けとも相性が良いです。
餡子系などの和菓子の美味しさを引き立て、バター系などの洋菓子にも負けない存在感。
にこまる玄米とも相性が良いのでおすすめです。
人を選ばないバランスの良さがあり、それでいて誰に出しても「美味しい!どこのお茶?」ときかれる確かさから、誰かに緑茶をおすすめしたり、贈る際にはこの茶葉からというひと品です。
コロンぽてっと、触り心地が良くて、丁度良いサイズの塩壺でした。少し黄味かかったベージュのお色にホッコリ癒されます。可愛さ満点のお品ですが、シンプルなデザインの為、どんなキッチンにも馴染んでくれるのではないでしょうか。私は出しっぱなしにして、ずーっと使い続けていきたいです。
こういったサブスクリプションの良い点は、お茶の選択に自分の意思が介在しないところだと思います。自分で茶葉を選ぶと同じような傾向になってしまいがちですが、普段自分では選ばないであろうお茶に自動的に出会えるのは、幅広く経験したい人には最適です。量と価格もちょうど良いです。
ログイン
カート




