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岡倉天心「茶の本」にみる日本のお茶文化

2020年12月28日

by 煎茶堂東京編集部

皆さんは、岡倉天心という人物をご存じでしょうか。明治期に活躍した思想家である彼の代表作と言われるのが、1906年に出版された「The book of tea(茶の本)」です。英語で書かれたこの作品は、西洋における日本茶文化の理解に大きな役割を果たしたと言われる名著。

今回は、天心が記した「茶の本」の内容をご紹介しながら、日本文化と茶の関係性について考えていきたいと思います。


・参考文献:岡倉天心著、大久保喬樹訳(2005)『ビギナーズ 日本の思想 新訳 茶の本』角川ソフィア文庫(以下「新訳 茶の本」と記載)

「茶の本」を生んだ岡倉天心の人となり

まず、岡倉天心と「茶の本」について少しご紹介しておきましょう。岡倉天心は1863年、幕末の横浜に生まれました。生家は生糸の輸出を生業としており、天心は幼い頃から国際感覚を身につけていきます。英語も堪能で、1873年にはわずか10歳で東京外国語学校(現東京外国語大学)に入学。

1875年には東京開成学校(1877年に旧東京大学へ改称)へ入学、卒業後は文部省でお雇い外国人アーネスト・フェノロサの助手として日本美術を調査します。ここで日本文化に目覚めた天心は、1887年東京美術学校(現東京芸術大学美術学部)を設立。日本における美術教育の基礎を築きます。

1893年には、日清戦争直前の荒れ果てた中国へと視察を敢行。アジアの広大さや文明の奥深さを体感して帰国します。その後、東京美術学校を排斥されてしまった天心でしたが、抜群の英語力と人脈を味方につけ、1904年にはボストン美術館に迎えられたのです。

これと前後して、都会の喧騒から離れたいと考えた天心は茨城県五浦(いづら)に拠点を移し、アメリカとの二拠点生活を開始。こうした背景の中でまとめられたのが、彼の代表作となる「The book of tea(茶の本)」でした。


「茶の本」は英語で発表された作品であり、明治期の日本人が英語で著した数少ない文献として、新渡戸稲造「武士道」と並んで重要視されています。また、当時知名度の低かった日本の茶道文化を世界に知らしめた作品として、欧米を中心に高く評価されているのです。

多くの日本文化は茶と不可分なもの

日本美術に明るかった天心ですが、その中でも茶道を中心としたお茶文化は格別なものと捉えていました。こうした考えがよくわかる記述が「茶の本」にも見られます。

私たち日本人の住居、習慣、衣服や料理、陶磁器、漆器、絵画、そして文学にいたるまで、すべて茶道の影響を受けていないものはない。日本文化を学ぼうとするなら茶道の存在を知らずにはすまされない。(「新訳 茶の本」P17)

天心は「茶の本」において、茶室建築・芸術鑑賞・花といった日本文化を紹介していますが、いずれも茶道の文化や偉大なる茶人が大きな影響を与えたとしているのです。

茶道がもたらした影響は、いわゆる上流階級の慣習に留まらず、日本食の繊細な料理や提供における作法、質素で謙虚な服の着こなし、花との接し方など日本人の日常生活全般に及ぶと天心は言います。



天心が指摘する部分は、今の私たちにとって「もっとも日本らしい」と感じる文化的特徴と言えるのではないでしょうか。自然を慈しみ、質素に暮らすというジャパニーズスタイル。日本人のアイデンティティを形作っているものの1つが、日本茶文化と考えられるでしょう。

古くは老荘思想から連なる茶の精神世界とは

日本茶を語る上で忘れてはならないのが、お茶というのは単なる文化や芸術ではないということです。村田珠光や千利休によって、室町時代から戦国時代にかけて大成された茶の湯は、深い精神性を持つものでした。茶の湯に禅の思想を取り入れることで、その精神性はますます深まります。

「茶の本」において天心は、禅の考え方の出発点となる古代中国の道教、老荘思想が茶道の根底に流れていると主張。茶道は、古代中国から連綿と続く精神世界の結晶であると説いています。

茶が禅と深くかかわっていることはよく知られている。すでに述べたように、茶の湯は禅の礼法から発展してきた。道教の始祖である老子の名も茶の歴史と密接に結びついている。(「新訳 茶の本」P56)

老荘思想でよく知られるのが、あるがままを受け入れ自然に身を任せて生きる=無為自然(むいしぜん)という思想。季節や自然をありのままに受け入れ、質素な部屋でたしなむ茶道は、まさに無為自然の境地であると考えられるでしょう。

また、天心は次のようにも述べています。

だが、道教と禅の完全ということについての考え方はこれと違った。その哲学はずっとダイナミックなもので、完全そのものより、完全を追求する過程を重視したのである。真の美というものは、不完全なものを前にして、それを心の中で完全なものに仕上げようとする精神の動きにこそ見出されるというのである。(「新訳 茶の本」P92)

不完全から完全を追求する過程を重んじる禅の思想が根底に流れる茶道では、あえて対称性が避けられていると天心は指摘します。茶の世界では、あえて余白を残すことによって、茶に向き合う人自身の身体や精神、季節感といった変化を取り入れることを理想とするのです。


大切なのは自然に身を任せるしかないと悲観的になるのではなく、だからこそ今目の前にある景色や現実を慈しもうという前向きな捉え方をしているという点。私たちがお茶を淹れてホッと一息つきながら「幸せだな」と感じる瞬間、天心の描いた日本茶の理想世界を体感しているのかもしれません。



ちなみに参考文献の訳者である大久保は、天心が茶や茶道、茶の湯の訳語として「Teaism」という英語を当てていることに着目しています。

「ism」というのは「Buddhism(仏教)」「Hinduism(ヒンドゥー教)」のように、宗教の訳語に使われる言葉。つまり、天心はお茶の世界が宗教にも匹敵するほどの精神性を帯びている、と考えていたと推察されるのです。

「茶の理想の頂点」は日本茶と説く天心

ここまで日本茶の文化について見てきましたが、そもそもお茶は中国からもたらされたものと言われています。中国茶の歴史は大変古く、古代中国神話に出てくる伝説の帝王・神農(しんのう)が薬として茶の葉を服したという神話が伝わっているほど。


文献上でも、紀元前の前漢時代にお茶が取引されていた記録が残されており、少なくとも2000年以上の歴史を誇ると考えられます。


しかし、天心は「茶の理想の頂点はこの日本の茶の湯にこそ見出される」(「新訳 茶の本」P50)と記述。理由として、天心は歴史的背景を挙げています。

中国から日本にお茶が伝わったのは奈良時代〜平安時代ごろと考えられていますが、その後の茶の湯や茶道につながる抹茶が本格的に伝わったのは鎌倉時代初めごろ。日本における臨済宗の開祖として知られる栄西(えいさい/ようさい)によってもたらされたとされます。

当時の中国は、漢民族による宋王朝の時代。ところが、直後にモンゴル民族の征服王朝・元による支配を受け、年月をかけて築き上げられたお茶文化は断絶してしまいます。中国本土で断絶してしまった抹茶の風習は、日本においてのみ受け継がれて現在に至るのです。

そして、日本で禅の思想が加わり、独自の茶道としてさらなる発展を遂げたことはご紹介した通り。日本のお茶文化は、中国の長い歴史で築かれた世界屈指の文化をベースとしつつ、日本らしさを加えて昇華した唯一無二の文化であると言えるでしょう。

グローバルな時代だからこそ日本茶を見つめ直そう

岡倉天心が生きた明治期の日本は、「富国強兵」「文明開化」をキーワードに西洋化を推し進めていました。欧米こそが世界の中心であり、東洋の文化は遅れていると捉えられていたのです。ここに一石を投じたのが、天心の「茶の本」でした。

実に不思議なことに、このように相隔たってきた東西の人間性が茶碗の中では出会ってきたのである。茶を飲む習慣こそは東西を問わず普遍的な敬意を寄せられる唯一のアジア的儀礼である。白人は東洋の宗教や道徳については嘲笑してきたが、この褐色の飲み物ばかりは躊躇なく受け入れてきた。(「新訳 茶の本」P25)

天心はこのように述べ、中国や日本で生まれたお茶文化が西洋でも広く受け入れられ、世界をつなぐ大きな存在であることを指摘しています。


新型コロナ感染拡大によってグローバル化の岐路に立つ現代は、形が違えど、明治期のような世界の分断を感じさせられる時代。こんな時代だからこそ、日本茶の背景にある文化を理解し、お茶を通した世界のつながりを再認識してみるのもいいかもしれませんね。

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透明急須 二級品
カテキン
傷もまったくわからなかった。

傷もまったくわからなかった。
どこが二級品?となるくらいの綺麗なものが届いて大満足。傷があっても美味しいお茶を淹れられればいいとは思っていましたが、浮いたお金で和紅茶を一緒に買わせていただきました。

可愛いくて気に入りました。大きいサイズも欲しいです

可愛いくて気に入りました。大きいサイズも欲しいです

好きな作者さんです。

優しい形、色、大きさがとてもいい感じです。

1人用煎茶にピッタリ

1人用煎茶にピッタリ

活躍の幅が広い大きさ◯

とても温かみのある色合い、手触り、見た目の質感です◯お客様へのお茶とお菓子の受け皿として、朝のフルーツを盛る器として、1人用のサラダ皿として、色々なシーンで使わせていただきます❁ご紹介くださりありがとうございました。

粉引の質感良し

楕円皿はいくつか持っていて購入を迷いましたが 買ってよかったです。大きさ・フチの立ち上がりの感じもいい感じです。また 粉引の質感も土も魅力たっぷりです。

TOKYO TEA JOURNAL
恵里子 菅谷
ちっとしたお返しになり、旅行などにも持って行きます。

ちっとしたお返しになり、旅行などにも持って行きます。

毎月楽しめる!

毎月3種類お茶が入っているので、自分が買ったことない銘柄とかも楽しめて嬉しいです!

初めて手揉みの緑茶

初めて手揉みの緑茶をいただきました。
一煎目から煎を重ねるごとに変わってゆく風味と味わいの深さ、そして色合いの美しいこと!
また、飲み終えてからの茶葉を食べてみた時の美味しさに驚きました!!
早速、手揉み茶の魅力にハマってしまいました。他のお茶も味わうのが楽しみです。

和紅茶 香駿
カテキン
香駿が和紅茶ではまた違った味わいだった。

美味しかった。煎茶では良く飲む香駿が和紅茶ではまた違った味わいで、リピートしたいと思った。

カーブが有機的で、やや青い色と相まって、使ってときめく優しい器でした。

カーブが有機的で、やや青い色と相まって、使ってときめく器でした。

発送も早かった

思ったより小さく感じましたが、気にいりました。

多田佳豫 蓋碗
和明 藤田
造形の美しさと優しさが気に入っています。

造形の美しさに惹かれます。茶碗の膨らみや受け皿のへりにかけての曲面が、シャープでありながら優しいです。器の表面が滑らかな石膏のような素朴な手触りで、オフホワイトの色調と合って暖かみを感じます。
台湾茶を飲む時間が、日常生活の句読点となり、リフレッシュできました。

引き締まる逸品

重量感がある見た目に反して非常に軽く使いやすいです。いつものティータイムを引き締めてくれる深みがあります。これから使い込んでいって違った顔を見せてくれるのかと思うと楽しみです

とても美味しい!

思いがけず長く抽出してしまいましたが、渋みやエグ味等はなく、ただただ烏龍茶の華やかな香りが広がります。マスクしていても香ってくるくらいです。
味はコクがある中でも、癖がなく、さわやかなのでとても飲みやすいと思います。
烏龍茶の香りが好き!という方は是非飲んでみてもらいたいお茶です。

お正月に元旦用にと。ところが、着たら飲みたくなり試飲。 まろやかな味わい、もうひとつ購入悩み中、売れ

お正月に元旦用にと。ところが、着たら飲みたくなり試飲。
まろやかな味わい、もうひとつ購入悩み中、売れきれる前に

料理が映える

私は楕円のプレートが大好きです!
深さ有るものからとてもフラットな大小色々な種類を持ってますが、いざ購入して使ってみると、今ひとつしっくり来ない感覚でいました。。。
「児玉修治オーバルプレート」の画像を見た時に「これだ!」と思い、入荷待ちの末ようやく届きました♡
ベストサイズ・ふっくらした楕円・ニュアンスのあるホワイト・個性的マットな質感・リムの絶妙な大きさと立ち上がり寸法、ずっと求めてた全てを満たしてくれました。このプレートに盛ると、シンプルな料理がアートっぽく感じて毎日楽しんでいます!
ケーキやフルーツも素敵に見せてくれます。

旨み深い味

封を開けた瞬間の香りの良さ、1煎目の旨みと優しい口当たり、そして2煎目のより味わい深い旨みが緑茶を楽しむという事に対する満足感を与えてくれる一品となっております

こういうのほんと助かります。定期的に汚れたりしても安心。

こういうのほんと助かります。定期的に汚れたりしても安心。

素敵です

届いて手に取ってみると予想していたお品より更に素敵で大変満足しています。色も形も手触りも素材もとても好ましく ただそこにのっているだけで湯のみでもお菓子でも一輪挿しでも倍魅力的に見える気がします。大切に使わせていただきます。

お茶の個性を知る。

この冊子を読むと、煎茶の味わい深さや、個性が分かるので、煎茶堂東京銀座店でお茶を買った暁には、読み返したりしています。
デザインや文字のフォント。見やすくて好きです。
また、3種類のお茶を飲む時も、是非、冊子を開いて、読みながらやって頂くと、より楽しめます。

香りもお茶らしくて癒されました。

香りもお茶らしくて癒されました。

スッキリした後味でとても美味しくいただきました。

スッキリした後味でとても美味しくいただきました。

シンプルなデザインで私好みでした。

シンプルなデザインで私好みでした。

抹茶椀
ユミ マツバラ
一目ぼれして〜

丸っこいかたちに一目惚れして「お抹茶を立てて飲みにくいかな?」と思っていましたが、その心配は全くなく最後のひと口まで美味しく吸い切れます。お抹茶茶碗はいくつか持っていますが、お気に入りの1つになりました。