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作り手のことば「手に取った方の食卓で、いつも頭の片隅にある存在であってほしい」木工作家・大澤知美さんインタビュー

2025年02月14日

by 煎茶堂東京編集部

奈良を拠点に、日常使いできる木の器を制作している木工作家の大澤知美さん。個展のほか、各地で開催される企画展に数多く出展されるなど、精力的に活動されています。

今回、煎茶堂東京で大澤さんの作品をお取り扱いするにあたり、大澤さんのお人柄、作品や木の器に対する想いなどを伺いました。

大澤さん、今回はよろしくお願いします。まずは、簡単なプロフィールを教えていただけますか。

よろしくお願いします。私は、奈良県を拠点に木工の制作をしています。

ある時、たまたま入ったギャラリーで木工作家の作品を見たのがきっかけで、木工を始めました。最初は、無垢の木を使った家具づくりをしていましたが、今は器を中心に制作しています。

2008年頃からクラフトフェアに参加したり、器などの展示会を開催したりするようになり、現在に至っています。

大澤さんは、かつて建築を学んでいたと拝見しました。建築のどのような分野を学んでいたのでしょうか。あわせて、当時の学びが今の作品づくりに生きていることがあれば教えてください。

大学卒業後に設計を学んでいました。その後、短い間ではありますが、建築の現場で職人さんたちと働く機会がありました。その時は木に触れる時間は少なくて、鉄筋を運んで曲げたり、セメントを運んだりといった日々でした。

見習いの仕事が主でしたが、当時の経験のおかげで、今のモノづくりの世界に抵抗なく入れたのだろうと感じています。

大澤さんが作品を作るなかで好きなのは、どんな時間ですか?

材木屋さんでたくさんの材のなかから、作品に適した材を選ぶ時です。

木工は材料がなくては始まりません。自分が求めているような材に出会えた時は、仕事の半分を終えたような安堵感があります。

ただ、あくまでも自然のモノなので、思うようにいかないことがあるところもまた、木工の面白さだと感じます。

さまざまな種類の木材で作品を作られていると思いますが、大澤さんが特に魅力を感じるのはどんな樹種ですか?

どのような樹種であってもそれぞれの魅力があるとは思いますが、一般には流通しにくい、初めて出会う材は面白いです。

例えば、椿、金木犀(キンモクセイ)。あとは、日本国内で育ったアボカドなどです。こうした初めてお目にかかる材を見つけた日は、すぐに削りたい欲を抑えつつ、材木屋さんから足早に帰りました。

大澤さんが器を作るにあたって、一番大切にしていることは何ですか?

いくつかありますが、パッと思いつくのはフォルム、持った時の重さや持ちやすさ。あとは口あたりなどです。

ご自身の作った器が、使ってくださる方の暮らしにおいて、どのような存在であってほしいと思いますか。

私自身も器が好きで、よく陶器を買い求めます。そして、料理をする前や料理ができあがったときには「この料理、この食材にはこの器だな」という感覚を基準に、使う器を選んでいます。

私の器も、使ってくださる方の食器棚の奥のほうにしまわれるのではなく、前列もしくは出しっぱなしになるのが理想。その方のいつもの食卓で、いつも頭の片隅にある存在であってほしいです。

作品を作る時のインプットは何かありますか?

一年を通じて、工房にこもって作業することが多いので、例えば美術館やギャラリーに足を運んで、何かを感じるといった機会は少ないです。

インプットというよりも、なるべく制作のモチベーションを保てるように心がけています。

最後に、大澤さんが今後挑戦してみたいことはありますか?

今はできる範囲の中でのモノづくりになってしまっていると感じています。なので、そろそろ違う扉を開いてもいい頃かなと思っています。具体的にはこれからですが…

大澤知美さんの作品

大澤知美さん
Instagram:@t.o_sawa
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