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作り手のことば「主役がより引き立つような余白を意識して」光泉窯・酒井修さん
2023年08月04日
by 煎茶堂東京編集部
光泉窯(こうせんがま)は、三重県四日市市を拠点に制作する萬古焼の窯元。耐熱性のある陶土で作られ、優れた耐久性を持つ萬古焼の特性を生かして、多くの焼き物を生み出しています。
今回は、煎茶堂東京での器のお取り扱いに伴い、代表の酒井修(さかい・おさむ)さんに作陶への思いを伺いました。
酒井さん、今日はよろしくお願いします。早速ですが、器を作ることになったきっかけを教えてください。
私たちの窯元は、祖父が昭和40年代に設立した製陶所に始まり、先代である父が光泉窯を設立しました。
小さな頃から祖父が職人として働く姿を見ていた影響か、物作りが好きだったんです。なので、自然と自分も陶芸の道に進みましたね。
作品を作る工程の中で、好きな工程と理由を教えてください。
企画から最後の窯出しまで全てです。
自動化が進む世の中ですが、私たちの器は、ひとつひとつ人の手を介しています。昔から続く様々な製造方法を継承し、守りながら作り上げているので、どの工程も大切なんです。
江戸時代から続く焼き物「萬古焼」の窯元である光泉窯さんですが、萬古焼の魅力はどのような点にありますか?
機能性が高いところが特徴です。古くから土鍋や急須で広く知られてきたように、直火やオーブンにも対応可能で耐熱性に優れています。
その一方で、萬古焼=コレ! という作風や特徴が少ないので、各々の窯元からオリジナルな作品が生まれる一面もあります。デザインや大きさなどの選択肢が増えて、器の可能性が広がる点も魅力ですね。
今回取り扱う「オーバルプレート」「リムボウル」は、洗練されていながら温かみのあるデザインが魅力です。制作におけるこだわりを教えてください。
どちらもお料理を盛りつけると、少し立ち上がったリム部分が生きてきます。器の主役は、あくまでも食材。だから、主役がより引き立つような余白を意識して制作しました。
作品を作るときのインプットはありますか?
イベント出店の際、お客様からいただく声や要望に耳を傾けています。そこから新しくデザインが生まれることが多いんです。
器を作る上で一番大事なことは何だと思いますか?
前の質問でお答えした通り、食材が主役で、料理を盛りつけてこその器。使い手の立場に立ち、使用シーンを想像しながら制作をすることを大切にしています。
今後挑戦してみたいことはありますか?
今は、自社オンラインと全国各地の陶器市や器フェアなどを中心に販売していますが、まだ行ったことのない都道府県が多数あります。イベント開催などの機会があれば積極的に出店できたらと思います。
また、これまでは陶器市などイベントありきでしたが、いつかは自分たちで開催場所を選びポップアップショップなどを開いてみたいですね。