
【私の茶道具】シグネ・ペーション・メリンのティーポットとウォーマー - インテリアスタイリスト 岩佐知布由
2023年06月14日

by 煎茶堂東京編集部
お茶のある暮らしを楽しむうちについ増えてしまう茶道具たち。でもお気に入りの逸品があると、お茶はもっと楽しくなる。センスのよいあの人が、そんな愉悦にどっぷりつかってしまった茶道具をご紹介。
インテリアスタイリストの岩佐知布由さんは、ヴィンテージのティーポットとウォーマーについて教えてくれました。
シグネ・ペーション・メリンのティーポットとウォーマー
わたしの茶道具は、スウェーデンのデザイナー、シグネ・ペーション・メリンが1970年代にデザインしたヴィンテージのティーポットとウォーマーです。
初めて見たのは北欧モダンデザインの展示か、ショップだったかはうろ覚えですが、シンプルで無駄のない本体に、ステンレスとコルクでできた取手、そしてガラス製のウォーマーが付いている…!
旅館での夕食時に、仲居さんが陶板を温めるために火をつけるアレと何となく似ているな、と思いながら、ガラスウォーマーでティーポットを保温する優雅さとそのお洒落さに心がときめき、長年想いを寄せてようやく家に迎え入れました。
ガラスのティーポットは見た目にも繊細で、こちらに丁寧な所作を要求します。慌ただしい日々でも雑に扱わず、道具を優しく扱うことで、心にもゆとりが生まれると思います。
また、この素材は中身が見える所がおもしろい。お湯を注ぎ、茶葉がゆっくり開いて少しずつお湯の色が変わっていく様子を眺めるとき、静かで穏やかな時が流れていきます。
赤坂にある茶ノ花研究室で購入した工芸茶を入れて、ティーポットの中の花を眺めながらお茶と向き合うと、考えが整理できて、アイディアがふと降りてくるような気がします。
キャンドルに火を灯して、お茶を保温する。時間が経ってお茶を湯呑みに注ぐとき、取手のコルクの優しい肌触りに、改めてこのティーポットのデザインの良さを感じて、嬉しくなります。
自分にとって愛着のある道具は、使う事で嬉しくなったり、あるべき位置に心が戻るものなのかもしれません。これからも、大切に愛用していきたいと思います。
インテリアスタイリスト
岩佐 知布由
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広告や雑誌、ムービー撮影にてインテリアや雑貨、暮らしに関わること全般のスタイリングや、ショップ等のディスプレイ、住空間コーディネートを行っている。Instagram:@chifuyuiwasa |
Photo:Tomoyuki Matsushita
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