
わたしの茶道具「世の中で“良い”ものが、自分に合っているとは限らない」CREIL店主/菅井悟郎さん
2022年03月08日

by 神まどか
煎茶堂東京・東京茶寮/デザイナー 青森県生まれ。最近の趣味は中国茶と茶道具収集です。
お茶のある暮らしを楽しむうちについ増えてしまう茶道具たち。でもお気に入りの逸品があると、お茶はもっと楽しくなる。センスのよいあの人が、そんな愉悦にどっぷりつかってしまった茶道具をご紹介。
東京・町田でカフェCREIL(クレイユ)を営む菅井悟郎さんは、長年使っているポットについて教えてくれました。
世の中で“良い”ものが、自分に合っているとは限らない
初めて使ったのが、このカリタのポット。よくわからないし、安かったから買ってみたのだが───後から知った───珈琲界では、もっと“良し”とされているポットがたくさんある。そこで、すべて手に入れて使ってみた。
それらのポットはしっかりした造りであるため重く、ハンドルが熱くならないように丸みのある筒状のものが多い。丸いために滑るのが、私には辛かった。
昔、事故で手が痺れるようになり、重いポットを持っていると手が疲れてよい抽出ができないことがあった。確かに素晴らしいポットだけれど、私に合ったポットは、一番最初に何もわからず買ったカリタの安いやつだと確信した。
しっかり握らなくても手にひっかかるように持てるし、軽く握力を消耗しない。注ぎ口は、ペンチで力任せにつぶして湯が細く落ちるようにカスタムした。歪んでいるが、偶然、点滴のように湯を落とすことができる形になっていた。どの湯量でどの角度ならどう落ちるかわかる。信頼している。
皆さんも、人に左右されず、自分に合った道具をみつけてほしい。
CREIL
店主・菅井悟郎さん
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東京・町田でカフェ「CREIL」を営む。家具や調度品、食器やカトラリーなど細部までこだわった静かな店内で季節の果物を使ったスイーツやコーヒーを味わうことができる。Instagram:@gorosugai |
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