
わたしの茶道具「100年後の未来の人々にも見せたい素敵な道具たち」黄峰麗さん
2022年01月31日

by 神まどか
煎茶堂東京・東京茶寮/デザイナー 青森県生まれ。最近の趣味は中国茶と茶道具収集です。
お茶のある暮らしを楽しむうちについ増えてしまう茶道具たち。でもお気に入りの逸品があると、お茶はもっと楽しくなる。センスのよいあの人が、そんな愉悦にどっぷりつかってしまった茶道具をご紹介。
中国と日本で、中国茶についての活動を行う黄峰麗(ホアン・フォンリー)さん。黄峰麗さんが教えてくれたのは、中国茶で使う2つの道具について。日本茶には無い緻密なデザインに、思わず魅入ってしまいます。
100年後の未来の人々にも見せたい素敵な道具たち
潮州(ちょうしゅう)骨董屋のおじさんは可愛い。潮州といえば中国広東省北東部の町で、「鳳凰単叢(ほうおうたんそう)」という烏龍茶の産地であり、潮州工夫茶の発祥地でもあります。
ここにしかない工夫茶道具を探しに、骨董屋さんによく行っています。店主と親しくなるまでは、本来の価格より少し高い金額を支払わされてしまうのですが、親しくなり常連になれば入荷情報をもらえたり、今度は逆におまけしてくれたりするのです。
「こんなの見つけたよー!」とある日嬉しそうに数枚の写真が送られてきました。写真に写ったこの白い茶盤は、70年代国営磁器工場のある職人さんが、趣味で白いタイルを一枚一枚切って「梅蘭竹菊」と漢詩を上絵付して作った、現存で10個あるかもわからないと言われるもの。
銅に包まれた炉の原作は、潮州工夫茶の師匠である葉漢鐘(イエ・ハァンヂォン)先生が、20年程前に出会った100年以上前の清朝末期の作品。待ちに待った復刻版を師匠が作ってくれました。復刻版の一つを中国茶葉博物館にも寄付したそうです。
100年後の未来の人々にも、この素敵な道具たちを見せてみたいなと思います。
黄峰麗さん
![]() |
大学卒業後、P&G中国で勤務したのち、1999年に来日し、九州大学大学院修士号を修了するGE日本、DHL日本を経て、2011年から中国と日本で中国茶、インテリアデザイン等、ライフスタイルの世界へ転身、現在に至る。Instagram:@huangfengliannie |
関連記事
-
【まとめ】人気連載「私の茶道具」021〜040
2023年06月07日
-
【私の茶道具】スティーヴ・ハリソンの茶器 − FOOTWORKS 森 健
2023年05月17日
-
【まとめ】人気連載「私の茶道具」01〜020
2023年04月28日
-
【私の茶道具】同世代の蓋碗 - 木工作家 只木芳明
2023年04月12日
-
【私の茶道具】鶴岡の川の石 − 煎茶堂東京デザイナー 神まどか
2023年03月29日
-
わたしの茶道具「世の中で“良い”ものが、自分に合っているとは限らない」CREIL店主/菅井悟郎さん
2022年03月08日
-
わたしの茶道具「いつものお茶が素敵な時間になる、魔法の茶器」デザイナー、プロップスタイリスト/YUMI KUROTANIさん
2022年01月20日
-
わたしの茶道具「一目で心を奪われた可憐な私だけの茶壺」カフェ&ギャラリー「STARDUST」清水香那さん
2021年12月23日