
わたしの茶道具「道具の背景に浮かぶ、大好きな人たちの姿」流れる研究所/谷口結さん
2021年12月09日

by 神まどか
煎茶堂東京・東京茶寮/デザイナー 青森県生まれ。よく飲みよく食べよく眠る。好きな食べ物は「豆花」。突拍子もなく大きい声で歌うのが好き。朝に弱いけど早起きに憧れます。
お茶のある暮らしを楽しむうちについ増えてしまう茶道具たち。でもお気に入りの逸品があると、お茶はもっと楽しくなる。センスのよいあの人が、そんな愉悦にどっぷりつかってしまった茶道具をご紹介。
福島、長野、東京、横浜でお菓子とドリンクを提供し活動する「流れる研究所」の谷口結さんは、地元や移住先などで出会った茶道具たちについて教えてくれました。
道具の背景に浮かぶ、大好きな人たちの姿
ひとりでゆっくり過ごすお茶の時間、いつも手が伸びるのは故郷の長野県蓼科のハーバルノートで出会った島るり子さんの焼締。すり鉢として購入したものなので、お茶を飲むにはオーバーサイズかもしれませんが、このどっしりとした土っぽさが長野の地と重なって安堵します。
聳える山々に囲まれた集落。地に根を張り、淡々と生活している人々。たじろぐことのない強さに励まされます。
お湯を沸かすのは、長野の祖父から譲り受けた岩手県の南部鉄器。可愛らしい丸みと素朴な佇まいに惹かれます。
そして淡々とした生活の中にさりげなく潜む、祖父の感性に触れる嬉しさ。お湯を沸かしながら、祖父のひとつひとつ積み上げた生活を思い浮かべて憧れます。
福島県いわき市のomotoさんの鍋つかみは、ポットマットとしても使います。使いやすく設計された形、美しい藍染、ハギレの楽しい組み合わせ、可愛いステッチのひと針ひと針……。
隅々まで心が行き届いた鍋つかみに、胸がじんわりと温かくなります。福島に移り住み、好きな風景や憧れる背中が増えました。悩んだり迷ったりするけれど、この地でこれからもお菓子を作ってゆこうと、お茶を淹れながらそっと心に誓うのでした。
流れる研究所
谷口結さん
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長野県生まれ。福島、長野、東京、横浜の4拠点で活動中。果物や野菜、ハーブなどを使ったお菓子とドリンクの組み合わせで喫茶を提供している。Instagram:@yui_taniguchi_shino |
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