「誰かにとっての庭みたいな存在でありたい」ハーブ専門農家 まるふく農園・楠瀬健太さんインタビュー
2021年07月21日
飲み物や食べ物に香りを加えてくれたり、味にアクセントを付けてくれたり、リラックスの助けになったり。食べても、飲んでも、飾ってもいいハーブ。その楽しみ方には、決してルールなんてないのです。
今回は、高知県高知市にある「まるふく農園」の生産者である楠瀬健太さんにハーブの魅力や楽しみ方についてお話を伺いました。
教えてくれたのは…楠瀬健太(くすのせ・けんた)さん
さまざまなハーブを自然農法で育てる高知県の「まるふく農園」で、200種類以上ものハーブを一家5人で栽培と出荷まで行行う。高知市の日曜市をはじめ、イベント出店やワークショップなども開催。2019年から高知市内にレコードショップ「TRANSIT RECORDS(トランジット・レコーズ)」もオープン。
http://www.marufuku.noen.biz/
「いい香りがする」だけでもハーブはすごい!

父がこの農園でハーブの栽培を始めたのは1985年のこと。まだ一般の人がハーブという言葉をほぼ認識していない頃です。父の同級生でフレンチのシェフの方がいて「ハーブ類が手に入らない」と困っていたそうです。当時は10㎝もないようなレモングラスが1000円するような時代でしたから。
祖父が花農家を営んでいて、父は兼業農家だったのですが、そこからハーブ栽培のチャレンジを始めたんです。それが気づけば35年以上続いて、今ではハーブも200種以上。ミントでも、タイムでも、ゼラニウムでもそれぞれに種類がめちゃくちゃたくさんあるので、育てていると「いつの間にか」種類が増えていってしまうんです。
僕がハーブを面白いなあと思うのは、まず、どれだけ触っていても「嫌にならない」こと。農家ですから、もちろん体力仕事でしんどいこともありますが、すごく忙しくて、めちゃくちゃハーブに触っていても、ふと「ええ香りやな」って思っちゃうんです。
配達している車の中もいい香りに満たされて「いいなあ」という気持ちが自然と湧いてくる。そんなつもりもないのに、自然と癒されてしまうんです (笑)。そしてもうひとつは、僕みたいに高知の小さい農園でハーブを育てているのに、東京や大阪、全国の人とつながりができること。人と人をつなげるような魅力が、ハーブにはあるんだなといつも実感しています。
まるふく農園のハーブは農薬や肥料を使っていません。これも「いつの間にか」そうなったという感じです。人間の都合ではなく、植物を主体に育てていくことが、いちばんいいだろうという考え方に自然となっていきました。

その例のひとつが、農園のシンボル的な存在であるレモンユーカリです。30年前ぐらいにハウスの真ん中に植えたものですが、これほど大きくなるとは思っていなくて……(笑)。でも人間の都合に合わせて切ったりするのではなく、ハーブが自ら育つ力に任せることが、結局はいちばん元気に育つのではと考えています。
剪定の後の切った枝をそのまま畑に置いておいて発酵させると、微生物が元気で、栄養が豊かな土ができます。そこで育つ植物は、生命力が強くて生き生きしています。植物は健康なら、虫も病気もはねつける力を体の中に備えているんです。
もし虫が湧いたり、枯れたりしてしまったということは、何かしらがうまくいっていない証拠。大切なことを植物が教えてくれているのだから、虫も、病気も、決して嫌なことではないんです。そうやって育ったハーブは、本当に香りがいいし、味も力強く感じられると思います。
気負わないでハーブと付き合ってほしい

ハーブの定義というのは、実は難しくて、専門書を読んでもバラバラだったりします。例えばドクダミはハーブだとする場合もあるし、ハーブじゃないという学者さんもいる。
セージというハーブは、シソ科のサルビア属ですが、道端に植えられているサルビアの花は、ハーブよりもお花という感覚がありますよね。ハーブなのかそうじゃないのかという境界は、まるふく農園でもけっこう曖昧にしています。細かく考え始めると大変ですから(笑)。
一方で、ハーブというと「有効に使わなければ!」という使命感が湧いてくる人も多いなと感じます。もちろん、使える楽しさもあるけれど、触ったあとで手がいい香りがするとか、雨上がりにふわっと香るのを感じるとか、それだけで十分。
使うということにとらわれ過ぎず、自然体で付き合ってもいいんじゃないかな、と思います。
お花屋さんで「あっ、かわいいな」「素敵だな」って思って買うみたいに気軽に、ハーブを楽しんでもらえると素敵ですね。
育てるにしても、ハーブだと構えてしまう方が多いんですが、特別なことはほとんどありません。土が乾いたらお水をあげるとか、普通にしていれば大丈夫。肩の力を抜いて楽しんでほしいなと思います。
とはいえ、僕自身もハーブが切り花のように楽しんでもらえるとは思っていなかったんです。数年前に、東京から花市場の仲卸の方が話をしに来てくれました。当時は苗や食用のハーブをレストランやホテルに卸すのがメインで、その他のハーブは、ほとんど趣味のようなもの。
食用のハーブの話をしている僕らと、切り花の話をしているその人とでは、全然話がかみ合わないんです。帰られる間際に、「こんな感じのブーケも作っています」と見せたらそれが唯一ヒット。
そのブーケをフラワースタイリストの平井かずみさんや、吉祥寺で「ジェンテ」というお店をされている並木容子さんなどお花のプロフェッショナルの方々が見つけてくれて、アドバイスをいただいたり、コミュニケーションが生まれるように。

楠瀬さんのインスタグラム。
ここ最近はinstagramのおかげで、お客さんに「こんなブーケを作れますよ」とお伝えすることができます。ブーケも北は北海道から、南は沖縄までいろいろな方に楽しんでもらえるようになりました。
まるふく農園は、ハーブを欲しい人にとっての「庭」だと思っています。「ちょっと摘んできて!」と言われたら、その人の代わりに僕が摘んでくる。
実際に、料理家さんやスタイリストさんが、少し先の季節のハーブが欲しいというリクエストをくれて、僕がそれっぽいものを探してお送りするということも時々あります。娘さんの誕生日に贈るために「可愛らしいイメージで」というオーダーをいただいて、応えることもありますね。
たくさんの種類を植えている方が、植物にとっていいというのもあるのですが、色々なものを植えておいて、そこから選べるようにしたいという気持ちもありますね。僕は収集癖があって、レコードを買い集めているのですが、たくさんの種類を植えているのも近い感覚なのかもしれません。
一昨年の暮れから、友人とレコード屋(TRANSIT RECORDS)を始めたのですが、そういえば、どちらの仕事もあまり気持ちを切り替えたりしていないかも(笑)。
フレッシュハーブの香りをもっと楽しむなら

香りの豊かなフレッシュハーブは、ドリンクにして楽しむのが手軽ではないでしょうか。お湯を注いでハーブティーにしたり、水に入れてフレーバーウォーターにするのも、今の季節にはいいですね。
ハーブティーはドライハーブを使ったもののイメージが強いかもしれませんが、フレッシュハーブを使うと、やはり香りが違います。おすすめは、スペアミントやニホンハッカなどのミントの仲間や、レモングラス、レモンバーム、レモンバーベナなど「レモン」がつくもの。
緑茶など味のベースがあるものなら、葉っぱを1枚浮かべるだけでも十分においしい。ジャスミンなら、生のお花をひとつだけ浮かべてみて香りを加えるのもいいですよ。ジャスミンの花は咲くとすぐ落ちてしまうから、こういう使い方は育てている人の特権かもしれませんね。
農園ではフレッシュハーブを使ったコーディアルを販売しています。コーディアルもドライハーブを使う場合が多いから、フレッシュハーブのコーディアルは珍しいんじゃないかなと思います。炭酸水に少し加えたり、もちろんホワイトラムに合わせたりして楽しめますよ。
この記事は「TOKYO TEA JOURNAL」VOL.27に収録されています。
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萩原さんの急須をサイズ違いで持っていたので大きいものが欲しくなり購入しました。持ち手と注ぎ口な安定していて、どんなお茶でも対応してくれる万能な急須です。購入できてうれしいです。
以前購入したものを割ってしまい買いなおしと追加で購入しました。
薄い器ですが名前のとおり一煎目の温度であれば手に伝わる熱さも問題なく、その薄さゆえにお茶の風味を自然に感じることができます。
長く使っていると白かった器が徐々に色づいてきますがそれもまた器の味として楽しんでいます。
香駿は、東京茶寮がオープンした時から一番好きなお茶でした。久しぶりに飲んでみましたが、やはり香りの良さとフルーティーな感じが素晴らしいです。茶葉が柔らかいので、三煎目は少し印象が薄いかもしれませんが、シングルオリジンらしいお茶ですね!
父親に贈る用で通常の商品を、自分用に二級品を購入しました。よく見てみると底に傷がありましたが、よく見なければわからないくらいで使用には全く支障ないので、とてもレベルの高い二級品だと思いました。磁器製の急須を処分してこちらに変えたので、食器棚もスッキリしておしゃれになり気分も上がりました。大事に使いたいと思います。
むさしかおりを頂いて。
一煎目、まあるい旨味とコクを感じる美味しさ、大好きな口当たりでした。
二煎目 心地よい苦味、
そして新緑の様な爽やかさ
一煎目とは大きく違う味わいを感じ
お茶好きとしてお茶を頂く楽しみを味わえます。シングルオリジンならではの茶葉本来の味を実感します。
紅茶党だった私が、「美味しい緑茶が飲みたい!」と思い、始めてみました。毎月色々なお茶(たまに和紅茶や烏龍茶も入っていてなお嬉しい)が手元に届き、今まで難しいと勝手に思い込んでいた緑茶が一回分ずつ3種類も入っているので、気軽に美味しいお茶が楽しめて私の中でのお茶の世界が広がりました。どんな緑茶に出会えるのか、これからも楽しみです。ありがとうございます。
注文から購入、発送、到着まで心配りが行き届いています。茶もおいしくいただきました。
亀田文さんの面取り鉢と同時購入しました。形の可愛らしさと柔らかな感じが気に入り、実際手元に届き、やはり形の綺麗さ、可愛らしさに満足ですが、思ったより底面積が小さいので、薬味やタレ、プチ菓子(練り切り1つ)を入れるサイズ感で、ワンプレートに乗せる豆皿のようにも使おうと思っています。
亀田文さんの器は前々から購入を考えていて、今回決心して家族分購入しました。
本当に使い勝手がよく、なかなかこの深さでこの形は見かけず、和・洋・中・デザートまで、何にでも合わせられます。買って良かったと思える優秀な器です。
とてもしっかり梱包していただきあ、また適宜メールでのご連絡もあり、信頼できるお店でだと思います。
また、機会があれば宜しくお願い致します。
黒豆も生姜も香りや香ばしさが際立っていて美味しくいただいています。豆乳ティーにしても香ばしさが残って楽しんでいます。今後も購入すると思います。
待ちに待ったティーポットを購入する事が出来ました。
早速お茶を淹れてみました。
とても美味しく淹れる事ができました。
素敵なティーポットで大変気に入りました。
お茶好きの友人へのプレゼントで購入しました。
見た目の美しさはもちろん大きさもちょうどよくとても喜んでもらえました。
1日のなかで素敵なティータイムを過ごしてもらえそうです。
久しぶりに大好物のドライいちじくをいただきました。いちじく本来のほんのり甘い品のいいお味が凝縮されていて、噛めば噛むほど口のなかに甘みが広がります。程よい柔らかさと粒々食感も最高です。今回は「はるもえぎ」と共にいただきました。
昨年、賞味期限前の値引きの時に購入しました。美味しかったので再購入。少しお高いですが非常に美味しく、緑茶と合わせると最高です。ケーキより糖分が少なく、タンパク質が取れるのも良いと思います。
私は毎朝、起床時に緑茶を飲むのが習慣になっています。当初は緑茶が飲めればそれでよかったのですが、見た目や雰囲気も含めてお茶の時間を楽しみたいと考えるようになり、素敵だなと思える茶器を探していました。そんな中、この急須を見つけました。
約180mlのお湯が入る容量があり、1人でコップ1杯分飲むのにちょうどいい大きさです。2杯目、3杯目を2人で分け合ってもいいし、同じデザイナーさんの小さな湯呑みなら60mlを3人分に分けて振る舞えます。
大きすぎず、小さすぎず、程よくミニマムな大きさが私の用途にぴったりでした。また、見た目はシンプルで美しく、手触りも良いです。お気に入りの急須です。
華やかさと爽やかさを兼ね備えた甘みのあるお茶。これだけで満足感があり、気分転換したい時などにチョイスしています。
お茶請けを用意するなら洋菓子にも合わせやすく、紅茶やコーヒーはちょっと重い…という時にも。
特に柑橘系など、香りの良いお菓子と合わせるとお互いが引き立つのでおすすめです
お店で頂いた香駿の冷茶が素晴らしく美味しく、茶葉によってこれほどまでに違うのかと、私の中での新たな扉が開いたお茶でした。
あの香りが忘れられないのですが、茶葉の量か、水なのか、自分で淹れるとなかなかあの美味しさにたどり着けずにいます。
通年販売のお茶ということもあり、ほぼ1年を通して楽しんでいます。
お茶だけでも美味しいですが、甘味とも塩味どんなお茶請けとも相性が良いです。
餡子系などの和菓子の美味しさを引き立て、バター系などの洋菓子にも負けない存在感。
にこまる玄米とも相性が良いのでおすすめです。
人を選ばないバランスの良さがあり、それでいて誰に出しても「美味しい!どこのお茶?」ときかれる確かさから、誰かに緑茶をおすすめしたり、贈る際にはこの茶葉からというひと品です。
コロンぽてっと、触り心地が良くて、丁度良いサイズの塩壺でした。少し黄味かかったベージュのお色にホッコリ癒されます。可愛さ満点のお品ですが、シンプルなデザインの為、どんなキッチンにも馴染んでくれるのではないでしょうか。私は出しっぱなしにして、ずーっと使い続けていきたいです。
こういったサブスクリプションの良い点は、お茶の選択に自分の意思が介在しないところだと思います。自分で茶葉を選ぶと同じような傾向になってしまいがちですが、普段自分では選ばないであろうお茶に自動的に出会えるのは、幅広く経験したい人には最適です。量と価格もちょうど良いです。
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