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もう一歩、お茶の深みへ vol.9 公益財団法人小笠原流煎茶道/小笠原秀邦さん「煎茶の魅力を凝縮した盧仝の茶歌、 その中の「清風」について教えてください。」

2023年08月22日

by 煎茶堂東京編集部

知ったらきっともっと楽しい。お茶をもう少し深く知るために、プロにお話を伺う連載です。

お話を伺ったのは…

公益社団法人小笠原流煎茶道
/小笠原秀邦さん

煎茶の魅力を凝縮した盧仝の茶歌、 その中の「清風」について教えてください。

盧仝の茶歌では、茶を淹れ嗜むひとときの中で、茶葉への尊さから大自然への感謝、そして人本来の心のあり方を詩文に表しています。喉や唇が潤い、不平不満などを忘れ、澄んだ心に映る美しい情景を詩文に認めたくなり、やがては仙境に通ずるほどの開放感を感じる、というものです。

煎茶の世界では、ただただ雑念のない清らかな気持ちを盧仝の茶歌にある「清風」という一言に準えています。ですから、今自分が置かれている立場や人間関係、やらなければならないこと、悩み、明日の予定…、など自分の現在地を忘れ、解放された心でいられる状態のことなのです。

カーナビでも現在地が入れられなければ目的地までのルートが表示されません。いわゆる目的地を目指していない状態こそが内観できるときでもあります。

茶を淹れることで心を静め、客観視することが出来れば、人間が本来大切にしなければならない心のあり方がみえてくるものと思います。

ただし、茶歌のこの後に続く部分では、身分制度による不公平さなどの社会情勢に不満を表しています。そういった理不尽を受け入れなければならない現実はいつの時代にもあるものです。だからこそ、茶を嗜むひとときは欠かせないのかもしれませんね。