【私の茶道具】北京・馬連道「澄心堂」の蓋碗− 中国茶・中国香文化教室「雲華」主宰 安田薫子
お茶のある暮らしを楽しむうちについ増えてしまう茶道具たち。でもお気に入りの逸品があると、お茶はもっと楽しくなる。センスのよいあの人が、そんな愉悦にどっぷりつかってしまった茶道具をご紹介。
北京・馬連道「澄心堂」の蓋碗− 中国茶・中国香文化教室「雲華」主宰 安田薫子

買付と学びで北京を訪れるたび、夜は「澄心堂」店主の劉さんを囲み、骨董や書、茶器に触れます。そんな体験の中で、自分が中国茶にまつわる何に心惹かれているのかがはっきりするような刺激を、今までに沢山いただいてきました。今年一月、その劉さんが急逝されました。
この蓋碗は、清朝に多く見られる白磁釉に、冷たくもやわらかなペパーミント色の青磁釉が掛かっています。歪で大ぶり。そして誰かが落としたのか、鎹による修理痕があります。完璧な美しさとは少し違う、時間を経たものだけが持つ気配に、どうしても惹かれてしまいます。決して使い勝手が良いわけではないのですが、「澄心堂」での時間と劉さんのお人柄でしょうか、ついつい手に取ってしまう蓋碗は、淹れたお茶がことのほか美味しく感じられる、私の大切な茶器です。
中国茶・中国香文化教室「雲華」主宰 / 安田薫子
2007年より中国天津市で暮らし、中国茶を学ぶ。現在は東京を拠点に、中国茶の伝播と、茶を通じた解放感あるひとときを提案している。 Instagram @chayuan.jp
|