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煎茶堂東京は2017年、銀座で創業しました。



日本茶を見直し、現代の価値観にアップデートした世界水準の日本茶ブランドをつくりたい。そして、世界に誇れる文化として日本茶を次の世代に繋げていきたい

 

私達が行うのは、良いお茶を、良いと思える人にお届けすることです。創業した事業家でありデザイナーの2人は、全く新たに茶業界へ参入しました。デザイン、テクノロジー、コーヒービジネスといった他業界で培った知恵を、日本茶に余すことなく注入し、日本茶を通じた新しいライフスタイルを世界に向けて提供するために、世界初のハンドドリップ日本茶専門店「東京茶寮」をオープンし、世界へ発信する拠点として銀座に「煎茶堂東京」を構えました。関西の拠点として、大阪の阪急うめだ本店内にも店舗をオープンしています。

 

いままでは、多くの方が美味しいお茶との出会いをみすみす逃していました。一般的な流通では「やぶきた」以外の味に出会うほうが困難です。これまで、お茶の個性(=品種香)は欠点とされ、極力さけられてきました。国内の生産量では「やぶきた」という品種が4分の3を占め、それ以外は6%以下の生産量でひしめきあっている、多様性の少ない世界です。ブレンドも後押しして味が似通ってしまい、価格差の根拠も曖昧になっていました。消費者には、味も価格も「一択」を求める一方で、市場に出回らないものが相当数埋もれていました。

 

そうしている間にも、徐々にお茶の耕作放棄地が各地で目立ち始めていることをご存知でしょうか。ペットボトルなどの液体を除いたお茶、つまり茶葉の市場は、2005年から13年間で33%減少しました(出典:伊藤園『決算説明会資料』2018(平成30)年4月期)。

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いままさに(もう既に)、茶農家の減少とともに美味しいお茶が失われていっています。「品質の悪いお茶から淘汰されているから良いのではないか」と思われる方もいるかもしれませんが、逆なのです。

 

お茶は、新茶の初競りの日から価格が下がっていくような相場で取引されます。しかし、お茶は、気温の寒暖差があり、霧がかかって日光が遮られるなどして、「時間をかけてじっくりと成長する」ことで味・香り成分のつまった葉が収穫できます。したがって、収穫が遅い山の上などの良い産地のお茶から値が付かなくなり、経営が厳しくなるというジレンマがあるのです。さらに、そうした地域は山の斜面に位置していたり、小さい区画のために機械化ができず、人手や手間がかかることから後継者がなく、茶園を手放すことになります。

 

お茶の単価が下がると、量を販売しなくては継続することができません。量を作るためには画一化が必要になります。個性を出しにくいために、消費者のお茶に対する興味や知識が育まれず、長期的に消費が落ち込む。この負のサイクルを断ち切ることができないでしょうか?

 

良いお茶づくりを続けるためには、良いお茶をきちんと評価し、人が良さを伝え、お茶を楽しむ文化を築いていかなければなりません。そのために、日本全国から良いお茶を探し、「収穫の早さ」とは違う力学で評価し、そのルーツを探り、伝え、消費者と繋げていく。少量で見過ごされがちでも、本当に良いお茶を、きちんとした情報とともに伝え、愛でていく日本茶専門店が必要だと思ったのです。良いお茶を誰もが手に取ることができるようにして、「こっちが好き」「こっちと違う」なんて会話が生まれたら、お茶の未来がつくれるのではないでしょうか。

 

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同じ地域のお茶はどれも似た味、というわけではありません。栽培する距離が近くても、斜面一つ変われば土壌が違います。どれも「お茶」と一括りにしてしまうのはもったいない。単一農園、単一品種の繊細な味の違いを飲み比べて、日本各地に想いを馳せてみてはいかがでしょうか。知れば知るほど深みのある煎茶の世界へ、みなさんをお連れいたします!

 

煎茶堂東京 青栁智士・谷本幹人