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作り手のことば「目指すのは、暮らしに寄り添い、溶け込む、空気のような“うつわ”」陶芸家・稲村真耶さんインタビュー

2024年10月11日

by 煎茶堂東京編集部

滋賀県大津市、比叡山の麓(ふもと)で子育てをしながら器づくりを行う、陶芸家の稲村真耶(いなむら・まや)さん。全国各地で個展を開催するなど、精力的に活動されています。

今回、煎茶堂東京で稲村さんの作品をお取り扱いするにあたり、稲村さんのお人柄、作品や陶芸に対する想いなどを伺いました。

稲村さん、今回はよろしくお願いします。まずは、簡単なプロフィールを教えていただけますか。

よろしくお願いします。私は愛知県常滑市で生まれ、高校はセラミック科で学びました。その後、愛知県立瀬戸窯業高等学校陶芸専攻科を修了し、陶芸家・藤塚光男氏の下で修行を重ねました。

専攻科を修了したのち、2009年に京都鳴滝で開窯し、2010年から現在に至るまで、滋賀県大津市の比叡山坂本で器づくりを続けています。2012年、兵庫県芦屋市の「うつわクウ」にて初個展を開いて以降、各地での個展を中心に活動中です。

器を作ることになったきっかけを教えてください。

焼き物の街・常滑で生まれ育ったので、陶芸は身近な職業でした。もともとものづくりが好きだったこともあり、中学3年生で進路を考えるにあたって「手に職をつければ生きていけるんじゃないか」と考えて、陶芸専門の高校へ進みました。

本格的に器づくりで生きていこうと思うようになったのは、弟子入りした師匠の考え方に感銘を受けたからです。

師匠のどのような考えに感銘を受けたのですか?

器は料理を引き立てるための脇役である、ということを教えてもらいました。

食べることは生きることです。私も食べることが好きなので、そのために使われる器を作って暮らすのは良いなあ、と感銘を受けました。

稲村さんの考える、最も魅力的な器とはどのようなものですか。また、そこを到達点としたときに、今後どのような部分を磨いていきたいと思いますか。

私が目指すのは、暮らしに寄り添い、溶け込む、空気のような「うつわ」です。

器を作っていられれば幸せなので、これからも続けることができるよう、今後も精進を続けていきたいと思っています。

暮らしに寄り添い、溶け込む器にするため、稲村さんが作品に取り入れている工夫やこだわりがあれば教えてください。

私にとっての器とは、使う人の生活を豊かにするために、その人の時間や空間を演出するための道具。存在する空間を邪魔しないように、「あれ?いつからあったっけ?」と思われるぐらい、空間に溶け込んでいてほしいんです。

そんな器を作れたら、と願いながら日々作陶しています。

稲村さんが作品づくりの工程の中で好きな工程は何ですか?

ロクロでの成形の工程が好きです。粘土の塊を触って形を作っていくのは、いつもワクワクします。

稲村さんの器は、花や草木、動物など自然のものをモチーフにした優しい絵柄のものが多いですが、どこから着想を得ているのですか。

草花がとても好きで、庭にたくさん植えているんです。その植物たちや、一緒に暮らす猫や犬と過ごす中で、日々モチーフのヒントをもらっています。

作品を作るにあたってのインプットは何かありますか?

京都で開催されている「平安蚤(のみ)の市」で、古物を探すことがよくあります。また、図録を見たり、美術館に足を運んだり、料理屋さんに行ったりするのも勉強になります。

器を作る上で一番大事なことは何だと思いますか?

丈夫で使いやすく、なおかつどこかに魅力のあるものが「良い器」だと思っているので、そういった器になるよう心がけています。

最後に、稲村さんが今後挑戦してみたいことを教えてください。

少しずつですが、器に新しい色を取り入れていけたらと思っています。

稲村真耶さん
Instagram:@inamuramaya
公式サイト:http://inamura-maya.com/

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