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益子の土が魅せる、ゆるやかな美。小野陽介さんの器
2024年08月29日
by 煎茶堂東京編集部
焼き物の街・栃木県益子町に生まれ、父は自身と同じ陶芸家という環境で育った小野陽介さん。
漫画家を志しながらも、次第にいつも身近にあった陶芸の道へ。現在は茨城県石岡市に工房を構え、土、そして釉薬に向き合いながら作陶を続けています。
「益子の土」が魅せる素朴さと、流れる釉薬が描く偶然の美しさが印象的な小野さんの作品から、今回は「茶壷」、「茶杯」、「蕎麦猪口」、「片口」、「杯」、「切立皿」をご紹介します。
小野さんが魅せられた「益子の土」は、他の焼き物の産地と比べると、土によっては腰がなく、成形が難しいところがあるのだそう。焼成後の扱いも繊細ですが、小野さんはそれを“個性”と捉えて楽しみながら作陶しています。
たしかに触れてみるとぽってりとした厚みや、フラットに見えていたところがゆるやかな曲線を描いていることがわかります。触れて愛でたくなる器なのです。
セピアな景色を楽しむ「茶壷」
小さな底から、ぷっくりとした膨らみを魅せる「茶壷」。まるでセピア色の水彩画でも見ているかのような白釉の表情が目を引きます。
流れるような釉薬が作り出す唯一無二の景色を楽しめます。
また、触れるとさらりとしていますが、時々ゆるやかに波打つ凹凸があり、愛おしさがさらに増してきます。
持ち手が大きく、蓋に指を添えやすいので、注ぐ姿も自然とエレガントに。中には茶漉しがついているので、茶葉をそのまま入れて使うことができます。
1杯をゆっくり味わう「茶杯」
中国茶をゆっくりと味わいたいときにぴったりな「茶杯」。約6cmほどの高さがあり、満水時で約80mlほど入るので、1杯を長く楽しみたいときにうってつけ。
ですので、中国茶に限らず、日本酒や、梅酒やウイスキーなどに氷を1つ浮かべて、ちびりちびりとお酒を嗜む「ぐい呑み」にしても良さそうです。
集めたくなる「蕎麦猪口」
ゆるやかに口が広がる「蕎麦猪口」。釉薬の下から覗く素地や粘土の粒子が魅せる表情はひとつずつ異なる1点モノ。集めて違いを楽しみたくなります。
満水時で約140ml入るので、蕎麦につゆをつける器としてだけでなく、お茶を飲んだり、薬味やドレッシングを入れたり、一口大に切ったフルーツを盛り付けたりと、自由な発想で使うことができる器です。
色と香りを楽しむ「片口」&「杯」
「片口」はひとつ持っていると、お茶の時間がより豊かになる器です。小野さんが手がける片口は丸いフォルムが愛らしく、手で包み込みたくなります。
「片口」という名前から酒器を想像するかもしれませんが、煎茶を注ぎ分けるときに、濃さを均一にするために移す「茶海」として使うことができます。この一手間で煎茶のおいしさがより引き立ちます。
肩肘張らずにお茶を楽しみたいなら、「片口」をポット代わりに使ってみてはいかがでしょうか。蓋がないのでお茶の湯色が目で楽しめ、香りも立ちやすく、ハーブティーを淹れるのにもおすすめです。
「片口」と合わせて揃えたいのが、高台が付いた「杯」です。直径が約8.5cmと口が広く、煎茶やハーブティーを注ぐと色と香りを楽しむことができます。
また、お浸しや和え物など、副菜を盛りつける小鉢にもなります。いつもの食卓に変化を出してくれることでしょう。
盛り付ければ、たちまち絵になる「切立皿」
フチが立ち上がった「切立皿」は眺めているだけで、何を盛り付けようかワクワクしませんか。こちらは直径14cmで取り皿としても使いやすいサイズ感です。
やわらかなベージュがかった白釉は盛り付けるものを選ばないので、一枚あると重宝します。中央に盛り付けたときの余白が美しく、お茶菓子を添えれば絵のようによく映えます。
フチの高さは約3cm。サラダや煮込み料理を盛り付けたり、水を張って花器にするのも良いでしょう。
小野陽介さん Instagram:@yousukeonopottery |
小野陽介さんの作品
フードスタイリスト・鈴木愛
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