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作り手のことば「すべての出会いが今の自分に必要な経験」陶芸家・飯高幸作さんインタビュー
2024年07月05日

by 煎茶堂東京編集部
埼玉県越谷市にカフェ「kousha」を併設したアトリエ兼ショップを構える、陶芸家の飯高幸作さん。自身が作った器でお茶や食事を楽しめる「学びの場(kousha)」の提供を通して、手仕事の魅力を発信し続けています。
今回、煎茶堂東京で飯高さんの作品をお取り扱いするにあたり、飯高さんの作品や器づくりに対する想いなどを伺いました。
飯高幸作さん、今回はよろしくお願いします。はじめに、簡単なプロフィールを教えていただけますか。
よろしくお願いします。私はもともと会社勤めをしていたのですが、あるとき雑誌に掲載されていた陶芸家の方の記事に衝撃を受けました。そのまま茨城県笠間市へと車を走らせ、窯元の門戸を叩いたんです。
笠間で7年間陶芸を学んだのちに独立し、2011年4月に埼玉県越谷市で築窯して現在にいたります。確かな技術で生産性を高めながら、日々、手作りの良さを最大限に引き出すものづくりをしています。
もともとは会社勤めだったとのことですが、なぜ陶芸の道に進む決断をされたんですか?
陶器は小さな頃から好きでしたが、まさかそれを生業にするとは思ってもみませんでした。実は、会社に属する中で「今の自分は本来の自分とは違う」と感じるようになっていて、本当に好きなことを模索していたんです。
そんなときに陶芸家の方の記事を見て、直感的に「探していたものはこれだ」と思い、陶芸の道に進む決断へといたりました。
いったん会社に属することによって、逆に自分自身を深く知るきっかけになったのだと思います。
雑誌の記事に惹かれて笠間へ車を走らせた瞬間から、今にいたるまでの歩みを振り返って、特に印象に残っていることやうれしかった瞬間があれば教えてください。
うーん…作品を通じた、いろんな人との出会いが毎日ありがたいので、どれか一つというのは正直決して決められません(笑)。
本当に、たくさんの出会いが作家としての活動に活きていて。すべての出会いが、今の自分に必要な経験で、喜びの連鎖以外の何ものでもないですね。これからも一つひとつの出会いを大切にして歩んでいきたいと思います。
会社員時代の経験の中で、作品づくりに活きていることがあればぜひ聞かせていただけますか。
会社員時代、人から話を聞いて、その人が何を必要としているかを知ることから、どんな仕事も始まるのだと感じる場面が多くありました。
器は「何かの入れ物」として存在するので、器を使ってくれるお客様や各方面のアーティストの方々からとにかく話を聞くようにしています。お話を聞いた皆さんの想いから得たインスピレーションを器に投影する作業に、そうした社会人としての経験が活かされていると感じますね。
作品を作る工程の中で、飯高さんが好きな工程とその理由を教えてください。
ろくろに向かい、土から作品を形作る工程が一番好きかもしれません。無心になることで、自分の軸が整う感覚があります。土を触る時間は、自分自身のバランスを保つためにも大切な時間です。
今後、何か挑戦してみたいことはありますか?
毎日いただく仕事に一生懸命取り組む。今はそんなときだと思っています。
いつもバタバタしながら、スタッフ一同、力を合わせて一つひとつの仕事を乗り越えながら頑張る日々です。素晴らしいメンバーにめぐり逢えたことに、心から感謝しています。