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作り手のことば「作品を作る前に、原点に戻って再確認しながら制作する」ガラス作家・小宮崇さん
2024年01月19日
by 煎茶堂東京編集部
富山県を拠点に、吹きガラスの技法で器を作る小宮崇(こみや・たかし)さん。みずみずしい植物のような、自然のなかにある儚さを連想させるガラスの器が印象に残ります。
今回は、煎茶堂東京でのお取り扱いに伴い、小宮さんにお話を伺いしました。
小宮さん、今日はよろしくお願いします。早速ですが、器を作ることになったきっかけを教えてください。
ガラスの制作を始めた頃は大きな作品やオブジェなどを作っていたのですが、次第に人々の生活の中に在るものに価値を見出すようになりました。そこで、自分の制作したものが人々の手に渡り使い続けてもらえればと思い、器作りを始めました。
作品を作る工程の中で、好きな工程と理由を教えてください。
私はやはり吹きガラスという技法に魅力を感じています。吹き竿にガラスを巻取り、ストローのように吹きあげて器の形にしていくのですが、厚みや大きさなどを感覚で調節しながらの作業は一瞬たりとも気が抜けません。緊張の中で思い通りの動きができたときは気持ちが高揚します。
繊細な作業ですが、だからこそ生じる表情の違いが器の魅力になっているんですね。小宮さんの感じる吹きガラスならではの美しさと、制作で苦労している点は何ですか?
私の作品は、息を入れてふくらんだ柔らかな形と型に吹き込んで制作したシャープな形の2種類があります。同じ技法でもプロセスの違いで全く異なった表情を見せてくれるのが、この技法の魅力的なところです。
「白のうつわ」を作るときには、不透明の白いガラスで表面を覆うので、吹いた空気を見るこそができません。そのため、全体の厚みは感覚で制作しています。
ガラスの厚みを想像しながらの制作は、透明のものを吹くより難しいなと感じます。
今回取り扱う、ゆらぎのある「十角グラス」と乳白色の「白のうつわ」は、異なる質感の器ですが、組み合わせて使っても食卓が華やぎそうです。どのように使ってほしいか、小宮さんの思いを聞かせてください。
今回は白のうつわのシリーズとトクサのグラスのお取り扱いですが、双方違った魅力をもつので、同じお酒を入れたとしても雰囲気は大いに変わると思います。
手に取った方が気に入るような食卓のコーディネートを、私の器を通して探していただければうれしいです。
器を作る上で一番大事なことは何だと思いますか?
数を作っていくうえで注意していることは、自分の良いと思った形を強く意識し続けることです。どうしても量を作っていくなかで、手が慣れて大事にしているポイントが薄れてしまうことがあるので…。
一つ一つ作品を作る前に、この形のいいところ、自分が大切にしたい部分を原点に戻って再確認しながら制作することは心がけています。
今後挑戦してみたいことはありますか?
今気になっているアイテムは、花器や照明などです。今後挑戦していけたらと思います。