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作り手のことば「先代から守り続けているのは、美しさと機能性」文山窯・中島正敏さんインタビュー
2023年09月22日
by 煎茶堂東京編集部
400年を超えて歴史に残る有田焼の技術を継承し、窯としても70年という長い歴史を持つ文山窯(ぶんざんがま)。田園を見下ろす小高い丘にある工場では、有田焼で唯一の“トンネル窯”を取り入れ、高品質な器と安定した生産が実現しました。
今回は、煎茶堂東京でのお取り扱いに伴い、2代目当主である中島正敏(なかしま・まさとし)さんにお話を伺いしました。
中島さん、今日はよろしくお願いします。文山窯の創業は昭和28年とのことですが、長い歴史の中で守り続けていることを教えてください。
創業から守り続けているのは、美しさと機能性を兼ねたもの作りです。また、それを次の世代に引継ぎ、地域貢献の一役を努めることも同じくらい大切にしています。
作品を作る工程の中で、好きな工程と理由を教えてください。
各工程に思い入れはありますが、窯から上がったその瞬間でしょうか。それまでの工夫や手間が“かたち”として結実したものを見れるからです。
長い歴史がありながら、最新の設備や技術への感度も高い文山窯さんが、手仕事にこだわり続けている理由を教えてください。
手仕事でしか生み出せない独自の世界観があると思いますし、それは器の素材感や唯一無二の表情を引き出してくれます。
特に、軽くて薄い磁器に表面のリネンのような質感が特徴の「ceramic mimic fabric」は、形状・布目共に一つ一つが違い、同じものがありません。その違いこそ手仕事のよさだし、器の楽しみどころではないかなと。
今回取り扱う「片口」「グラス」は、布を用いて生地をたたきしめることで(手捻り)、豊かな表情を持つ器に仕上がっています。この技法が生まれたきっかけは何でしょうか?
初代が、土の素材そのものを表現する技術を活かしたもの作りに挑戦したことが最初のきっかけです。そんな中、生地を両面から布で叩き締めることでその表現と、手作業ならではの薄さと軽さを両立させました。その後、この生地に更に絵付けを施した「手捻り」シリーズを発表。
全国の百貨店を中心にした販売を経て、当代はこの技法を現代的にアレンジし、布目を付ける布選びを再度見直し、素材の表情と薄さ・軽さを活かした「ceramic mimic fabric」シリーズに落とし込みました。現在は7年目を迎えますが、高い反響を受け続けています。
器を作る上で一番大事なことは何だと思いますか?
技術ももちろん大切ですが、一番は自分の思いや考えを器という形で表現していくことです。
今後挑戦してみたいことはありますか?
新しい科学技術や素材と伝統的な技術を融合させたもの作りに挑戦してみたいと思っています。