地中をめぐる水の冒険。東京大学大学院 教授・徳永朋祥先生インタビュー
2021年06月17日
地球は水の星―そう言われていますが、地球上に存在する水の9割以上が海水であり、淡水はわずか2.5%ほどしかありません。しかもそのほとんどは南極や北極の氷であり、「水」の形をしているものは、たったの0.01%。
人が生きていくために欠かせない「水」ですが、この物質について知らないことや気がついていないことが、実はたくさんあるのです。
今回は、地下水の動きや、それに伴う環境の変化について研究を行う東京大学の徳永朋祥教授に、遠いようで身近な地下水の話を伺いました。
教えてくれたのは…徳永朋祥(とくなが・ともちか)教授

1967年生まれ。東京大学理学部地質学教室卒業後、東京大学大学院理学系研究科地質学専攻修士課程修了。博士(工学)。ウィスコンシン大学客員研究員などを経て、現在は東京大学大学院新領域創成科学研究科環境システム学専攻 教授。愛媛で過ごした子供時代には、滝つぼで遊び、実家では井戸水を使っていたそう。
サハラ砂漠の地下にも水はある

井戸からくみ上げる水や、景勝地に湧き出る湧水。いずれにせよ地下水は、自分たちの日常にはあまり関わりがないように感じられます。しかし地下水は、私たちの生活に密接に関わっています。
工業用水や農業用水として使われるだけでなく、コンビニや自動販売機で購入できるペットボトルの水にも地下水を原水としたものがあるし、水道水に地下水を利用している自治体もあります。
また、地下水が湧き出ている場所というのは、意外と身近にあるものです。たとえば世田谷区の「等々力溪谷」のように、都市の近くでも、気軽に行ける距離にあったりするので、探してみると面白いと思いますよ。
地下水は、雨や雪が土壌を通して地下に浸透していったもので、文字通り地下をゆっくりと動いています。では、雨や雪が降らない地域には地下水がないのかというと、そんなことはありません。
世界最大の砂漠地帯であるサハラ砂漠には、地表から70mほどの地下に水が貯えられています。サハラ砂漠は1万5000~5000年前には、湿潤で、緑豊かな場所だったと考えられていて、その頃に地表に降った水が、現在も地下に眠っているというわけです。
しかし、地下水すべてがこれほど長い時間を経ているとは限りません。富士山の水は、数十年で地表に出てくると言われています。人間にとっては短い時間ではないかもしれませんが、サハラ砂漠と比べたらだいぶ早いですよね。

というのも、富士山は比較的新しく、氷穴や風穴などといった特徴的な地形も見られる山です。溶岩も比較的サラサラで、マグマが流れ出して外側が冷え固まっても中は固まりにくく、溶岩の流れたあとが洞窟状になりやすい。こういう地質の中を水が流れるから、比較的短い時間で表出するわけです。
水が海や河川など、個々の領域にとどまる時間を滞留時間というのですが、海は約4000年。4000年経てば、海の水は入れ替わるということですね。しかし地下水は、「3週間〜1万年以上」だそうです。驚くほど早く流れるものもあるし、数万年かかるものもある。地下水といっても、気候や地形などの条件でその性質は大きく変わるのです。
日本の水は「江戸っ子」風?

こういう地下水の性質について、私はよく「おじいさんのお財布の中からお金をいただく」か「江戸っ子みたいに稼いだお金はパーッと使っちゃう」か、というたとえを使っています。これはどちらも、上手に使っていればそれでよいというところがあります。
雨水というかつての財産を貯えてはいるものの、新しく増やすことができない砂漠地帯もあれば、日本のように降雨量が多く、多くの地下水に恵まれている地域もある。では、地中に長くとどまっている水とそうではない水の成分にどのような違いが出るかというと、これは一律にどちらがどう、とは言えないのが正直なところです。
ミネラルウォーターはその名の通り、ミネラル成分(カルシウム、マグネシウム、ナトリウムなど)が溶け込んでいます。よく言われるのは、カルシウムやマグネシウムが多いものは硬く感じられる(硬水)ということ。
フランスのエビアンと、日本の南アルプスの水を飲み比べれば、エビアンの方が明らかに硬いことが分かると思います。これは滞留時間だけの問題ではなく、地質による影響も大きいのです。例えば石灰岩が多い地域では、石灰岩のミネラル成分は水に溶けやすいので、硬水が多いように思われます。
降った雨が地中に浸透することで、ミネラル豊富できれいな水を得ることができる。これだけ聞くと、人知の及ばない自然の力のように思えますが、私たちの生活もまた、地下水の質に大いに影響を与えています。

かつての日本には水田が多くありましたが、戦後の減反政策によってぐっと減りました。「田んぼ」は、非常に重要な地下水の入り口でしたが、それが減り、畑地や酪農地などに変わったことで地下水中の硝酸態窒素量が増え、水環境の悪化を引き起こすということもあります。
これはほんの一例で、水の酸性化など、人の手による水質の変化はほかにもたくさんあるのです。地下水は、河川などの表流水と比べて滞留時間が長いため、一度汚染されるときれいにするには長い時間がかかります。全ての人が、自然環境や水に対してベストな選択をするというのは難しいことです。でもこういった現状のことも、知っておいてもらえるといいなと思いますね。
水に親しむことは豊かさにつながる

私の子供が小さい時に「水はどこから来ているの?」と聞いたら「蛇口!」と答えていました(笑)。蛇口からシンクに落ちるまでしか、水の通り道を見たことがないから当然ですよね。
地下水に限らず、日本の水道インフラはとても優秀で便利である一方、どうやって私たちの手元に届いているのかを見えなくしてしまうこともあります。水のことを気にしなくていい社会は、確かに安全ということなのかもしれません。
子供たちに水について考えて欲しいと思う時、「とにかく水と一緒に遊んでね」と伝えています。水は、飲むものでもあるし、遊ぶものである。一方で、人を殺す恐ろしいものでもあります。そういう水の多面的な性質を五感で味わうことこそが、水を知り、水を身近に感じることにつながります。
地下水の研究というのは、実はまだまだ歴史の浅いものです。私たちの行いに対して自然がどう振舞うのか。この先は分からないことだらけです。でも分からないことがなくなってしまったら、大学の先生なんていらなくなってしまいますからね(笑)。
白黒をつけるのが難しいことだからこそ、人は自然を知り、その知恵をもってよりよい行動を選択していくしかない。そのための手助けをすることが、私たち研究者の目指すところなのかもしれません。 地下水について、基本を詳しく知りたい方はこちらの記事がおすすめです。
このインタビューは「TOKYO TEA JOURNAL」VOL.26に収録されています。
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萩原さんの急須をサイズ違いで持っていたので大きいものが欲しくなり購入しました。持ち手と注ぎ口な安定していて、どんなお茶でも対応してくれる万能な急須です。購入できてうれしいです。
以前購入したものを割ってしまい買いなおしと追加で購入しました。
薄い器ですが名前のとおり一煎目の温度であれば手に伝わる熱さも問題なく、その薄さゆえにお茶の風味を自然に感じることができます。
長く使っていると白かった器が徐々に色づいてきますがそれもまた器の味として楽しんでいます。
香駿は、東京茶寮がオープンした時から一番好きなお茶でした。久しぶりに飲んでみましたが、やはり香りの良さとフルーティーな感じが素晴らしいです。茶葉が柔らかいので、三煎目は少し印象が薄いかもしれませんが、シングルオリジンらしいお茶ですね!
父親に贈る用で通常の商品を、自分用に二級品を購入しました。よく見てみると底に傷がありましたが、よく見なければわからないくらいで使用には全く支障ないので、とてもレベルの高い二級品だと思いました。磁器製の急須を処分してこちらに変えたので、食器棚もスッキリしておしゃれになり気分も上がりました。大事に使いたいと思います。
むさしかおりを頂いて。
一煎目、まあるい旨味とコクを感じる美味しさ、大好きな口当たりでした。
二煎目 心地よい苦味、
そして新緑の様な爽やかさ
一煎目とは大きく違う味わいを感じ
お茶好きとしてお茶を頂く楽しみを味わえます。シングルオリジンならではの茶葉本来の味を実感します。
紅茶党だった私が、「美味しい緑茶が飲みたい!」と思い、始めてみました。毎月色々なお茶(たまに和紅茶や烏龍茶も入っていてなお嬉しい)が手元に届き、今まで難しいと勝手に思い込んでいた緑茶が一回分ずつ3種類も入っているので、気軽に美味しいお茶が楽しめて私の中でのお茶の世界が広がりました。どんな緑茶に出会えるのか、これからも楽しみです。ありがとうございます。
注文から購入、発送、到着まで心配りが行き届いています。茶もおいしくいただきました。
亀田文さんの面取り鉢と同時購入しました。形の可愛らしさと柔らかな感じが気に入り、実際手元に届き、やはり形の綺麗さ、可愛らしさに満足ですが、思ったより底面積が小さいので、薬味やタレ、プチ菓子(練り切り1つ)を入れるサイズ感で、ワンプレートに乗せる豆皿のようにも使おうと思っています。
亀田文さんの器は前々から購入を考えていて、今回決心して家族分購入しました。
本当に使い勝手がよく、なかなかこの深さでこの形は見かけず、和・洋・中・デザートまで、何にでも合わせられます。買って良かったと思える優秀な器です。
とてもしっかり梱包していただきあ、また適宜メールでのご連絡もあり、信頼できるお店でだと思います。
また、機会があれば宜しくお願い致します。
黒豆も生姜も香りや香ばしさが際立っていて美味しくいただいています。豆乳ティーにしても香ばしさが残って楽しんでいます。今後も購入すると思います。
待ちに待ったティーポットを購入する事が出来ました。
早速お茶を淹れてみました。
とても美味しく淹れる事ができました。
素敵なティーポットで大変気に入りました。
お茶好きの友人へのプレゼントで購入しました。
見た目の美しさはもちろん大きさもちょうどよくとても喜んでもらえました。
1日のなかで素敵なティータイムを過ごしてもらえそうです。
久しぶりに大好物のドライいちじくをいただきました。いちじく本来のほんのり甘い品のいいお味が凝縮されていて、噛めば噛むほど口のなかに甘みが広がります。程よい柔らかさと粒々食感も最高です。今回は「はるもえぎ」と共にいただきました。
昨年、賞味期限前の値引きの時に購入しました。美味しかったので再購入。少しお高いですが非常に美味しく、緑茶と合わせると最高です。ケーキより糖分が少なく、タンパク質が取れるのも良いと思います。
私は毎朝、起床時に緑茶を飲むのが習慣になっています。当初は緑茶が飲めればそれでよかったのですが、見た目や雰囲気も含めてお茶の時間を楽しみたいと考えるようになり、素敵だなと思える茶器を探していました。そんな中、この急須を見つけました。
約180mlのお湯が入る容量があり、1人でコップ1杯分飲むのにちょうどいい大きさです。2杯目、3杯目を2人で分け合ってもいいし、同じデザイナーさんの小さな湯呑みなら60mlを3人分に分けて振る舞えます。
大きすぎず、小さすぎず、程よくミニマムな大きさが私の用途にぴったりでした。また、見た目はシンプルで美しく、手触りも良いです。お気に入りの急須です。
華やかさと爽やかさを兼ね備えた甘みのあるお茶。これだけで満足感があり、気分転換したい時などにチョイスしています。
お茶請けを用意するなら洋菓子にも合わせやすく、紅茶やコーヒーはちょっと重い…という時にも。
特に柑橘系など、香りの良いお菓子と合わせるとお互いが引き立つのでおすすめです
お店で頂いた香駿の冷茶が素晴らしく美味しく、茶葉によってこれほどまでに違うのかと、私の中での新たな扉が開いたお茶でした。
あの香りが忘れられないのですが、茶葉の量か、水なのか、自分で淹れるとなかなかあの美味しさにたどり着けずにいます。
通年販売のお茶ということもあり、ほぼ1年を通して楽しんでいます。
お茶だけでも美味しいですが、甘味とも塩味どんなお茶請けとも相性が良いです。
餡子系などの和菓子の美味しさを引き立て、バター系などの洋菓子にも負けない存在感。
にこまる玄米とも相性が良いのでおすすめです。
人を選ばないバランスの良さがあり、それでいて誰に出しても「美味しい!どこのお茶?」ときかれる確かさから、誰かに緑茶をおすすめしたり、贈る際にはこの茶葉からというひと品です。
コロンぽてっと、触り心地が良くて、丁度良いサイズの塩壺でした。少し黄味かかったベージュのお色にホッコリ癒されます。可愛さ満点のお品ですが、シンプルなデザインの為、どんなキッチンにも馴染んでくれるのではないでしょうか。私は出しっぱなしにして、ずーっと使い続けていきたいです。
こういったサブスクリプションの良い点は、お茶の選択に自分の意思が介在しないところだと思います。自分で茶葉を選ぶと同じような傾向になってしまいがちですが、普段自分では選ばないであろうお茶に自動的に出会えるのは、幅広く経験したい人には最適です。量と価格もちょうど良いです。
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