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【ものづくりの現場】割れない「透明急須」の製造プロセスに込められた技術と想い。

2020年09月15日

by 煎茶堂東京編集部

こんにちは、煎茶堂東京の谷本です。

煎茶堂東京でも随一の人気商品として、割れない「透明急須」というプロダクトがあります。ありがたいことにたくさんの方にお使いいただいて、SNSでの投稿を日々嬉しく拝見しています。

→透明急須はこちら

このように何万個と販売されるまでに、特に本体の樹脂製造のパートナー企業さんには甚大なるご協力をいただきました。・・・ときにはご迷惑もおかけしながら、悩みもがき、一歩一歩改善を続けてきました。

どんな想いで、どんなプロセスでつくっているか。

いまの時代では、私たちが消費しているモノの「思想」や「哲学」に共感できるか、支持するべきかということも注目されていると思います。「どんな想いで、どんなプロセスでつくっているか」、それを開示することで安心・納得して購入をしてもらえたらと思いお伝えいたします。

なぜ伝えなくてはならないか。「作り手を尊重すること」

過去に、私たちの製造体制が追いつかず、お客様を1ヶ月以上お待たせしてしまうことが何度かありました(辛抱強くお待ちいただいた方、本当にありがとうございました!)。当時、樹脂製造のパートナー企業さんには、「高いクオリティを維持すること」と「製造スピード向上」の難しい両立を短期的に求めることになり、疲弊・歪みが生じてしまった苦い記憶があります。



そのときに、「お客様が絶対優先だから、無理をしてでも製造する」という方針を取ることはできたと思います。しかし、結果としてそうはしませんでした。むしろ製造の現場で働くパートナーも、それを販売するスタッフも、お客様と同様に尊重され、お客様とともに作り手・スタッフもハッピーになれる道を模索するべきだと思ったのです。

長期的に継続的に、関わった全ポジションがWINに。

短期的に無理をしない、というのは改善や進化するのをサボるということではなく、健全な成長を通じてお客様に継続的に価値を提供していこうという考え方です。「コンビニのように果てしなく便利」ではないけれど、自分たちの責任範囲の中でできる提供価値をしっかり出していくつもりです。そんな考え方に共感してくださったお客様と良好な関係性を築いていきたいと思っています。



今回、工場を拝見して製造方法の細かな見直しや変更を行いました。ものづくりをする一員として、製造ロスを減らし、長く使えるものとすることで「環境負荷」の極力少ないサステナブルな事業を心がけたいと思います。



それでは、工場をご案内します。場所は石川県。小松空港から車で向かいます。

多くの「手作業」に裏打ちされた商品

こちらは工場内部の樹脂成形のエリアです。透明急須は、実はめちゃくちゃ手作業の工程が多い(多かった)商品です。この写真で見ても工業製品チックなイメージで、どんどんベルトコンベアに流れていって・・・というイメージな方もいらっしゃるかもしれません。

だからこそ、「なんで商品届くまでこんなに時間かかるんだ」という声もいただいたのかと思います。しかし、透明急須が製造上あまりに特殊な製品ゆえ、現場ではまず手作業で対応して、徐々に自動化・機械化していっているのです。

気温・湿度を感じ取って調整していく樹脂成形

いきなりですが、樹脂成形の心臓部からお見せします。 「ロボットアーム」!機械による一部自動化がされています。こちらは成形した熱々の樹脂を型から取り出して冷却している工程です。人間の背丈以上のロボットが作業している姿を間近でみるのは大迫力ですね。



いまではロボットが行っているこれらの作業も、生産開始当初は手作業で行っていました。「透明急須」は樹脂の常識からかけ離れた「超極厚」の成形商品。成形する技術と求める製品クオリティが業界慣習から逸脱して高いため、大変苦労が大きかったんだとか(スミマセン。。。)。いまそれを乗り越えて製造していただいていることに心からの尊敬と感謝。ありがとうございます!

機械化されたいまも、これらロボットを動かすのはあくまで人間の行わなければならない仕事で、現場の「気温・湿度」などをみて調整しています。樹脂原料の水分の含み具合による不具合を抑えながら成形していかないと、樹脂がキレイに仕上がらないんです。製造責任者の北村さんいわく「ほとんどナマモノみたいなもの」だそう。

ゲート処理を刻印で活かす

その後、冷却された透明急須は後加工の工程に入ります。透明急須は樹脂製品には珍しく、見た目の審美性も高いレベルが求められる製品です。ほとんどの方が気づかないのですが、パーティングラインやゲートなどの「継ぎ目」の処理が非常にわかりにくく設計してあります。

「ガラスだと思った」というお声をいただくのは、そうした製造上難易度の高い設計をした上で、光の入り方や見え方の美しさをこだわった作りになっているからです。



樹脂を流し込む「ゲート」という接続部(バリが残る部分)はボール盤で削り、そこにレーザー刻印(これも手作業で・・・)を行うことにより、底面を見ても違和感なく美しい仕上がりに。

一点一点、目視での検品作業

みなさんのお手元にお届けするまでには、いくつもの丁寧な手仕事を施しています。樹脂を成形すれば終わり、なんてことはなく、成形後の工程では職人さんの手作業が必須です。徐々に自動化・機械化が進んではいるのですが、それは約3年に渡る苦労の結晶がありました・・・。それでも、特に目視チェックは機械化が難しく、人の目が必要な工程です。工場で、パッケージにいれるとき、など複数のタイミングで検品を行っています。

このように日々、数百個〜千個以上を一点一点チェックして形状の乱れはないか、不良となるものはないかというのを、透明だからこそ非常に見にくいのですが、チェックしていただいてます。

整然と並んでいる姿はキラキラと美しく、壮観な光景でした。

チーム戦で繋がったものづくりリレー

継続的に、安定して製造するということはチーム戦です。一人の職人技だけではなく、チーム全員が技術力を高め、上流から下流までリレーをしてお客様までお届けする。そのリレーの最後のバトンを受け取るのがお使いいただく皆様です。お客様とともに、ものづくりの輪に入り、次の世代につなげていくことができたら嬉しいです。

サステナビリティのためのアクション

私たちは「お茶」をアップデートして次世代につなげていくことを掲げています。透明急須を製造することもサステナブルな形を模索していく必要があります。そこで、以下のアクションを実施していきます。



1.製造ロスの最小化
2.良品以外の有効活用


「1. 製造ロスの最小化」

ものづくりにおいて、ロスは避けて通れない重要な課題です。ロスとは、商品として成立しなかった資源のことを指します。商品として製造工程中・製造後に生じた何らかの原因によって販売ができなくなってしまういわゆる「不良品」や、無駄になる原料のことです。継続的に商品化までの工程を見直し、これらを最小化してまいります。



「2. 良品以外の有効活用」

そうはいっても、現状ではまだ無駄はゼロにはできていません。商品に完璧を求めすぎると、良品に対して不良品という優劣が発生し「だめなもの」という価値観を生んでしまっているという現状も感じています。

工程上、不慮の傷やヘコミ、黒点が発生することはあります。そうした利用には全く問題ないモノでありながら、売ることができずに廃棄物になってしまっているという話は、農業・工業どこでも聞く話だと思います。

目指すは「温かい流通」

そこで、利用には差し支えない不良品については、良品以外のルートでの有効活用を行いたいと思います。

(1)教育機関などへの寄付
(2)煎茶堂東京を理解してくださっている個人リピーターさんの複数所有のためのアウトレット販売

を考えています。良品でないものも、それが「個性」として了解いただいた上でその人の手に渡るような「温かい流通」を実施していきたいと思います。



(1)の寄付先については検討段階です。受け入れ側のニーズがあるところにお渡しできればと考えていますので、もしそうした情報があれば弊社( contact@greenbrewing.jp )までご一報いただけると嬉しいです。

子どもたちに飲んでもらえれば、未来のお茶好きを増やすきっかけになるかもしれません。ひいては、日本の土地を知ることに繋がり、知的好奇心を育むことになればと思います。







以上が、透明急須の製造現場について、そこに込められた想いのお話でした。 いままでより深く知っていただけることで、関わり方の変化や愛着も生まれ、長くご利用いただけたら嬉しく思います!

透明急須もお茶も、ゆっくりではありますが、改善を積み重ねていきます。いつもご利用ありがとうございます。そして、これからもよろしくお願いいたします。