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【東京茶寮】1枚の葉に戻る驚異のお茶。永世名人と「心でもんだ」2周年の想い
2019年01月04日
by 煎茶堂東京編集部
あけましておめでとうございます。LUCY ALTER DESIGNの青柳・谷本です。日本茶を現代に合わせて見直し、普段のライフスタイルに香り高い日本茶を取り入れたいと、世界初のハンドドリップ日本茶専門店「東京茶寮」を2017年1月5日にオープンして、2周年を迎えます。
矢のように過ぎていった2年間でしたが、数々のお客様、取引先の農家や店舗スタッフ、パートナー企業の方々に支えられ、おかげさまでここまで来ることができました。当店は周年が年始の時期にあたることもあり、昨年に引き続き今年も、お客様への感謝を込めたおもてなしを考えておりました。2周年について、文章が少し長くなりますので、お急ぎの方はこちらの動画(約4分半)をご覧ください。
現在、国内でただ1人だけ存在する手もみ茶の永世名人「住田恵朗(すみだよしろう)」さん。曽祖父から続く手もみ茶の家系で手揉みを傍で見て育ち、手もみ茶を60年以上作り続けて来られた、いまなお現役の手もみ茶トップランナーです。この度、住田さんを東京茶寮にお招きし、昨年の12月25日に東京茶寮スタッフ全員で「手もみ茶」づくりを行いました。
東京茶寮でつくる手揉み茶
東京茶寮は、製品や内装に現代的なエッセンスを用いて日本茶の新たな表現の可能性を模索しております。これまで日本茶と関わりのなかった方々にもその魅力を届け、次の世代へつなげていくことを目標としていますが、それはあくまで日本茶の本質的な価値があることを前提に成り立つものです。現在に至るまで連綿と続いてきた日本茶を支えてきた農家・工場へのリスペクトを胸に、歴史を過去のものとせず、実体験の中から生き生きとした日本茶の価値を現代に伝えられないか。お茶をハンドドリップすることはその1つの手段ですが、今回はお茶を提供するカフェである東京茶寮で、お茶づくりそのものを行ってしまおうと考えました。(その様子は冒頭の映像をご覧ください)
個性豊かな煎茶の原点へ
手もみ茶は、江戸中期に蒸し製煎茶法を考案した永谷宗円のときから始まる煎茶の歴史の、まさに原点ともいえるお茶です。現代の煎茶(荒茶)を製造する機械は手もみの「手づかい」をモデルとして機械化したものだからです。「煎茶」とひとくちに言っても、その地域や種類、色・味わい、茶づくりに対するポリシーや理念・理想像は実に様々に存在しています。また、それらの個性にあたる部分は良い悪いといった優劣で語れるものではありません。当店は全国の個性豊かな茶葉を並列して取り扱い、飲み比べ、独自の視点で魅力を見出すことで価値を伝えています。この煎茶の多様な世界観において、画一的に良し悪しを測るのではなく、それぞれの良さや趣きを見出し、前向きに嗜好性を愉しみたい、というのが当店のスタンスです。全国の個性豊かな煎茶。その状況を生み出した原点が手もみ茶であるならば、これを実際に体験しないわけにはいきません!また、その経験をその場で終わらせることなく、店頭での提供・接客に活かし、映像化、文章化を通して、いろいろな形で一人でも多くの方に「手揉み茶」を楽しんでいただこうと考えました。
一枚一枚の葉からできている
様々な思想が存在する煎茶の製造においても、概ね共通する概念があります。それが茶葉の「再現性」です。お茶の世界での再現性というのは、フレッシュな生葉の状態で持っている成分をいかに棄損せずに、乾燥状態の茶葉に閉じ込め、湯が注がれたときにもとの状態に近いところまで復元する、あるいは持っていた成分が湯の中にいかに多く抽出されるか、ということです。お茶づくりは、生の葉の状態が100だとすると、その後の製造の工程によって完成品のクオリティがもとの100を超えることはないといわれる世界です。お茶にも熟成という工程を稀に取り入れますが、これも元の生葉の力が良いものだからこそ熟成が奏功するものだと思います。
手もみ茶の場合、この茶葉の再現性に美学がある。湯を注げば大きく茶葉が広がり、ヒラリと一枚の葉に戻る。青々として鮮やかな緑色で、たったいまそこで摘み取ったかのような葉。これには大変な感動と驚きを覚えます。お茶は摘んですぐに酸化が進み、萎れはじめるため、生のまま残すことはできません。ところが、煎茶として乾燥工程を経て保存性を高めたものは、時間や場所の隔たりを超えて、八十八夜の記憶が蘇るかのように茶葉が復元し、フレッシュなお茶を味わうことができるのです。その再現性を最優先にしたものが手もみ茶なのだと思います。全行程で約5〜6時間もかかる上に、出来上がりは数百グラムにしか満たない。大量生産・大量消費の時代に真っ向から逆行するお茶でありますが、そこにこそわざわざ「茶葉」でお茶を楽しむ理由があるとも思えます。
今回もんだお茶について、実体験を交えて提供できるということ
ペットボトルのお茶に慣れ親しんでいるいま、手もみ茶を飲めば「お茶って茶葉からできていたのか」という当然の理解が、体感としても腑に落ちるのではないでしょうか。なぜか新しく感じる、温故知新な体験です。この日、東京茶寮のスタッフが住田さんと共にもんだお茶は、2019年1月4日(金)13時から、東京茶寮店頭にて提供・販売を開始いたします。日本茶専門店として、バリスタ・スタッフが実際に製造に携わったものを、お客様にお出しするということは、初めての経験です。お越しいただくお客様にとっても、この手もみの茶葉を見て、飲んで、実体験の語りを交えながら味わうリアリティのある経験は、一杯のお茶以上の価値を感じていただけるのではないでしょうか。
量が少なく、単価も非常に高額なため、流通しにくい手もみ茶。また、永世名人の住田さんが栽培から手もみまで手がけている茶葉を飲める機会は稀ですので、ぜひこの機会にじっくりと味わってみてください。(このような機会は何度もご用意できません!)
住田さんの「技術の世界ですのでね、これでいい、ということはあり得ない」というお言葉に背筋の伸びる思いで、3年目に入った東京茶寮も、まだまだ精進してまいります。本年も、よろしくお願いいたします。
<住田恵朗(すみだよしろう)>
全国手もみ茶品評会で1等1席という最高位を4度受賞し、永世名人の称号を授かる。現在は日本にただ1人のみ。静岡県の無形民俗文化財に指定される。手揉み茶には地域ごとの茶葉に合わせ派生した流派があり、住田さんは青透流(せいとうりゅう)。
<2周年記念メニュー>
煎茶2種飲み比べ(内1種を手揉み茶)+お茶菓子 1,650円(税込)
★手もみ茶は2煎+茶葉をポン酢で召し上がれます
煎茶1種+お茶菓子 1,150円(税込)
★手もみ茶は2煎+茶葉をポン酢で召し上がれます
手もみ茶(やぶきた)量り売り 350円/g (2g~)
<東京茶寮について>
所在地
〒154-0011 東京都上馬1-34-15
アクセス
東急田園都市線「三軒茶屋駅」南口B出口 徒歩7分
営業時間
平日 13時〜20時(19時LO)
土日祝 11時〜20時(19時LO)
定休日 月曜日(祝日の場合、翌日休み)
URL
http://www.tokyosaryo.jp/
<関連URL>
煎茶堂東京オンライン
https://shop.senchado.jp/
LUCY ALTER DESIGN
https://lucyalterdesign.com/