お茶には多くの栄養成分が含まれているのをご存じでしょうか?
日本茶の代表的な栄養成分としては、カテキン、アミノ酸(テアニン)、カフェイン、ビタミンCなどが知られています。これらの成分は、私たちの健康をサポートする効果が期待できるものばかり。
今回は成分ごとに、効能や特徴をまとめて解説するとともに、各成分を効果的に摂取できる煎茶の淹れかたもご紹介していきます。
お茶に旨味をもたらす「アミノ酸」
日本茶の味は、渋味・苦味・旨味・甘味という4つの味要素で構成されます。
4要素のうち、旨味や甘味をもたらすと言われる成分が「アミノ酸」です。お茶には多くのアミノ酸が含まれていますが、テアニン・グルタミン酸・アルギニン・アスパラギン酸・グルタミン・セリンの6種類で、全体の9割以上を占めると言われています。
お茶に含まれるアミノ酸のうち、実に半分以上を占めるのが「テアニン」。
テアニンは脳の神経細胞を保護する働きがあるとされ、摂取することによってリラックス効果が期待できるのです。
他にも、次のような効能があると言われています。
- カフェインの興奮作用や覚醒作用を穏やかにする
- カフェインと一緒に摂取することで、記憶力や作業の正確性がアップ
- アルツハイマー予防、精神疾患の予防・治療
テアニンを含むアミノ酸は、低温でも十分に抽出されるのが特徴。低温でお茶を淹れることによって、アミノ酸の持つ旨味を十分に味わうことができるのです。
低温のお湯で淹れるのはもちろん、夏場のおすすめは水出しや氷出し。アミノ酸がもたらす凝縮された旨味に、思わず驚くことでしょう。
アミノ酸の特徴や効果について、より詳しく知りたい方はこちらの記事がおすすめです。
お茶特有のポリフェノール「カテキン」
お茶に含まれるポリフェノールの一種が「カテキン」です。かつては渋味成分を合わせて「タンニン」と呼んでいましたが、近年お茶に含まれるタンニンのほとんどが、カテキン類であることが明らかになっています。
カテキン類は、日本茶に渋味・苦味をもたらす成分です。緑茶に含まれるカテキン類は、主に次の4種類。4つ目のEGCgがカテキン類全体の約半分を占めています。
- エピカテキン(EC)
- エピガロカテキン(EGC)
- エピカテキンガレート(ECg)
- エピガロカテキンガレート(EGCg)
この作用により、老化・がん・生活習慣病などの予防に効果が期待できると言われています。
低温でも抽出されるアミノ酸とは対照的に、カテキンは高温で抽出されやすい成分。また、比較的抽出に時間がかかるというのも特徴です。
そのため、カテキンのもたらす苦味・渋味を味わいたいなら高温抽出、反対に苦味・渋味を抑えたいなら低温抽出がおすすめです。
カテキンの特徴や効果について、さらに深く知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
お茶特有のポリフェノール・カテキンってどんな成分?ポリフェノールを上手に引き出す淹れかたもご紹介

覚醒作用で知られる「カフェイン」
カフェインはさっぱりとした苦味をもたらす成分。健康作用としては、次のようなものが知られています。
- 覚醒作用(眠気を覚ます)
- 利尿作用(老廃物や毒素の排出を促す)
- 血管収縮/拡張作用
カフェインは高温で抽出されやすく、低温では抽出に時間がかかるのが特徴。目を覚ましたい時や仕事に集中したい時は、高温で淹れるとカフェインの持つキリッとした苦味を楽しむことができます。
カフェインの特徴や効果を掘り下げて知りたいという方は、こちらの記事がおすすめです。
お茶にも含まれる五大栄養素の一つ「ビタミン」
お茶にはビタミンも含まれています。主な成分と期待できる効果を見ていきましょう。
- ビタミンC:肌の健康維持
- ビタミンB2:皮膚や粘膜の再生、通称「発育のビタミン」
- 葉酸:通称「造血のビタミン」、妊婦に必須のビタミン
- βカロテン:体内でビタミンAに変換、夜間の視力をサポートする
- ビタミンE:強い抗酸化作用、老化防止
5種類のビタミンのうち、上の3種類は「水溶性ビタミン」。水に溶けやすいため、お茶にもしっかりと抽出されます。ただし、ビタミンCと葉酸は熱に弱いため、低温で淹れるといいでしょう。
一方、下の2つは「脂溶性ビタミン」と呼ばれ、水に溶けにくいのが特徴。ほとんど抽出されないため、摂取するには茶葉を食べる必要があります。
日本茶のビタミンについて、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。
体の調子を整えるために大切な「ミネラル」
お茶には、合計5〜7%程度のミネラルも含まれています。日本茶に含まれる主なミネラルと期待される効能は次の通りです。
- カリウム:細胞の浸透圧調整、神経・筋肉の働き維持、ナトリウムの体外排出
- カルシウム:骨や歯の生成、細胞分裂や分化、筋肉収縮、神経興奮の抑制
- マグネシウム・リン:骨や歯の生成
- ナトリウム:神経・筋肉の働き維持
ミネラルには水溶性のものと不水溶性のものがあります。水溶性ミネラルはお茶に抽出されますが、不水溶性の成分は十分に抽出されません。不水溶性のミネラルを摂取するには、茶葉を丸ごと食べるのが効果的です。
お茶に含まれるミネラルについて詳しく知りたいなら、こちらの記事がおすすめ。
おいしいお茶は健康成分の宝庫
お茶には数多くの栄養成分が含まれており、「健康成分の宝庫」と言ってもいいかもしれません。
ただし、成分ごとに抽出温度や水への溶けやすさが異なるため、期待する効果や味によって淹れかたを工夫する必要があります。栄養成分の特徴や効果を理解した上で、シチュエーションに応じて淹れかたを変えれば、より深く日本茶の世界に浸ることができますよ。