旅の記憶から「茶瞑想」に至るまで。目で見て心で感じるお茶を淹れる時間

こんにちは。東京茶寮・店長の井原です。

今回はわたしのヨガの経験から考えついた「茶瞑想」についてお話します。お茶は味わうだけではなく淹れる時間の向き合い方を少し意識するだけで、より一層リフレッシュしたり、リラックスできたりするんです。

「茶瞑想」が、新たなお茶の楽しみ方を見つけるヒントになれば幸いです。

 

ヨガの経験から生まれた新しいお茶の楽しみ方

東京茶寮で働く前、実はヨガのインストラクターとして働いていました。

ヨガとの出会いは大学時代。単位を取り終えて暇を持て余していたときに、インドのヨガ旅行に行った時のことです。

デリー空港から現地の言葉が行き交う夜行列車とバスを乗り継ぎ、ヨガの聖地と呼ばれるリシケシュへ。数多くのアシュラムと呼ばれる僧院を巡り、スワミジといういわゆる先生の講話を受けながら、ガンジス川の上流を目指します。

講話の合間には、スワミジについて周りの日常生活を覗かせてもらうこともありました。お互いの言葉が通じないのも気にならないくらい、現地の体験はとにかく新鮮なことばかり。以来、わたしはヨガにのめり込んでいくことになるのです。

それから、ヨガが盛んに行われているインドやタイに5~7回渡り、タイのTTC(ティーチャー・トレーニング・コース)も終了しました。

 

ところで、ヨガには様々なスタイルがあるのですが、共通しているのは「瞑想」をするということ。目を閉じ、呼吸を整え、瞑想。自分の心と体に意識を集中して観察。ですが、頭に浮かんでくる心配事や日常のあれこれをシャットアウトして“瞑想だけ”をするのは、はじめはなかなか難しいものです。

 

ヨガ歴も10年になり、自分なりの瞑想が出来るようになりました。ただ今度は、なかなか瞑想する時間が取れなくなってきて…。ある時ふと気づいたのです。

「瞑想を、お茶の時間に組み合わせてみればいいのでは?」

ヨガにはまり、お茶の仕事に携わるようになってから、このふたつには共通点が多いなぁと感じていました。お茶もヨガも仏教との関わりが多く、考え方やキーワードが似ているものも多い…。

 

こうして、お茶とヨガを愛するわたしの思いつきから、「茶瞑想」が生まれたのです。

 

茶葉の動きを愛で、心で静かに瞑想を

「茶瞑想」では、お茶を淹れる時間を瞑想にあてます。

急須にお湯を注ぐと、ゆっくりと開いていく茶葉。人の力では決して操作することのできない、不規則な茶葉の動きを観察しながら瞑想を行います。

 

ヨガの瞑想にはいろんな種類がありますが、「茶瞑想」で取り入れているのはふたつの手法です。

一つ目は、頭の中でひたすら同じ言葉を繰り返すこと。同じ言葉を唱え続けることで、集中を途切れさせないようにするのです。

二つ目は、頭に浮かんだ出来事を否定せず、あるがままに受け取り、そして受け流すこと。心を落ち着けて、いざ瞑想と意気込んでも、「洗濯物取り入れたっけ」とか、「夕飯なに作ろうかなあ」とか、日常の些細なことに意識がそれるのはよくあることです。

そこから「いかんいかん」と思わずに、「こんな風に考えちゃったな〜」と頭に浮かんだ出来事を受けとめ、また元の瞑想に戻るのです。

 

わたしは「茶瞑想」で茶葉の動きを見ていると、なんだか愛らしく思えてきて、あっという間に時間が経ちます。色や形が異なる茶葉の瞬間を追えるのは、透明急須ならではですね。出来上がったお茶の味わいも格別です。

いつものお茶を淹れる時間を「茶瞑想」に当てることで、集中力が高まったり、頭の中のモヤモヤが吹き飛んだり。短い時間で、瞑想前の自分とは遠いところへ行けるような感覚があって面白いんです。

 

集中と癒しと。気分に合わせて楽しめる「茶瞑想」のレシピ

その日の気分によって試していただける、ふたつの「茶瞑想」のレシピを紹介します。

 

・集中の茶瞑想レシピ

茶葉を温度高めのお湯で抽出することにより、キリッとした味わいが楽しめます。お茶のカフェインは集中力もアップしてくれそうです。

わたしは、目が覚めたりやる気がみなぎったり、エネルギッシュな気持ちになります。心なしか、歩くのが早くなったり、寒いのがへっちゃらになることも。

このレシピのおすすめの茶葉は中蒸し〜深蒸し。おすすめは「001 はるもえぎ」。1分ほど抽出してください。

 

・癒しの茶瞑想レシピ

茶葉を温度低めのお湯で抽出することによって、テアニンという成分が出て甘みと旨みが楽しめるお茶になります。

飲むと気持ちが落ち着いてリラックスするように感じます。心が優しくなり、開放感が得られるようです。

このレシピのおすすめの茶葉は浅蒸し。おすすめは「031 浅蒸しはるもえぎ」。3分ほど抽出してください。

 

 

最後に、最近のわたしの茶瞑想のお話です。

仕事と遊びの予定に追われて、満足のいく睡眠時間が取れない日々が続いていました。

「こんな時こそリフレッシュしたい」と思ってトライしたのは、癒しのレシピ。茶葉の動きを愛でながらの瞑想―。お茶の飲み頃には、心もすっかり軽くなりました。

 

「茶瞑想」によって頭の中を整理し、気持ちのスイッチを入れ替えることが出来ました。

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